慶大、魂のタックル健在 HO中山大暉主将「前に勢いよく出るディフェンスを徹底した」 大型FWの東洋大を粉砕/全国大学選手権
第61回ラグビー全国大学選手権3回戦(14日、慶大50-26東洋大、秩父宮)6大会ぶりの優勝を目指す明大(関東対抗戦3位)は、東海大(同リーグ戦3位)に50-17で勝ち、8大会連続で8強入り。SO萩井耀司(1年)、CTB伊藤龍之介(2年)の〝ダブル司令塔〟が機能して8トライを奪った。慶大(同対抗戦4位)は「先手必勝」の狙い通りに前半の5連続トライで、東洋大(同リーグ戦2位)を50-26で下した。京産大(関西2位)が30大会ぶり出場の青学大(関東対抗戦5位)を、近大(関西3位)は福岡工大(九州1位)を下し、それぞれ準々決勝に進んだ。 タイガージャージーの慶大フィフティーンの表情に、達成感が浮かんだ。東洋大から8トライを奪い、2大会ぶりの準々決勝進出を果たした。 「前に勢いよく出るディフェンスを徹底した」 HO中山大暉主将(4年)がそう振り返った。今季は関東対抗戦序盤に3連敗。大学選手権出場圏内の5位確保も危ぶまれたが、終盤に持ち直し勝ち点1差で4位に入った。慶大の武器である〝魂のタックル〟を研ぎ澄ませた成果を出した。 東洋大には春季大会で62-17と大勝。だが、相手は211センチで大学最長身のLOウーストハイゼンら関東リーグ戦屈指のFWをそろえる。この一戦に備える週の初め、青貫浩之監督(40)が中山やSH小城大和副将(4年)に問うと「普通にやったら勝てない。自分たちの武器のタックルを徹底的に磨きたい」と返答。「各自が自分の仕事以上のことをする『プラスワン』のマインドを持たせた」と中山はいう。 東洋大対策として、控え選手がテニスラケットを高く掲げて〝仮想ウーストハイゼン〟となり、ラインアウトを練習。相手を勢いに乗せないために、攻撃では「先手必勝」をテーマにアグレッシブに攻めた。風上の前半の5連続トライは、攻撃面での成果。「チームとしてやろうとしていることができた」と指揮官はうなずいた。 桐蔭学園高時代に全国制覇を経験した中山は、今季終了後にラグビーの第一線から退く。21日の準々決勝の相手は選手権4連覇を狙う帝京大だ。「たとえ次が最後になっても納得できるという気持ちでいれば、チームを前に出せる。(19-57で敗れた)対抗戦では帝京大の力強いキャリーに引いてしまったので、そこで戦いたい」という主将の思いを、慶大がチーム一丸で体現する。(田中浩)