「合唱の同志社」栄誉のレコード…「宇宙戦艦ヤマト」組曲に参加、企画展で紹介
同志社大学の今出川キャンパス(京都市上京区)で、1枚の貴重なレコードが17日まで特別展示されている。刻まれた音源は人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の合唱組曲。同志社学生混声合唱団(CCD)が参加し、日本コロムビアが1979年に発売したものだ。「合唱の同志社」といわれ、活動が盛んだった時代を伝える。(松田聡)
アニメは74年に初放映。異星人に襲われ、破壊された地球環境を再生させるシステムを1隻の戦艦で宇宙のかなたの星へ取りに行くのが1作目。2作目とともにアニメ史上に残るヒットとなった。管弦楽の作中音楽も特徴的だ。
合唱組曲は、作曲家の久石譲さんが合唱やピアノ向けに編曲。映画「砂の器」のサウンドトラックでテーマ曲「宿命」のタクトを振るった熊谷弘さんが指揮した。現役団員にOB、OGも加わって計約70人が歌い、大阪市の旧大阪厚生年金会館ホールで2日がかりで収録された。
CCDの合唱はオーケストラ付きの宗教曲が多く、アニメ音楽は異例だった。レコードでは歌詞のある主題歌のほか、管弦楽やパイプオルガンの演奏部分を「ああ」「ルル」などオノマトペで歌い上げた。
熊谷さんは、団員で学生指揮者だった武内義典さん(66)の指揮で練習するステージ上の団員らに客席から指示し、録音本番は登壇して指揮者を務めた。
武内さんは「書き下ろしの楽譜は初めてで(38回歌い直す)テイク38もあった。歌詞がない曲をどう演奏し、作り上げるかと思った」と言う。仲間の中村正平さん(67)と光本玲子さん(66)は「あのヤマトに関われるとは。指示で(本来以上の力を)引き出してもらえ、楽しかった」と懐かしむ。
70年代はサークル活動が盛んで、学内に複数あった合唱団もそれぞれ100人以上の団員を抱えていた。武内さんは「技量や活動を考慮して選ばれたのでは」とみるが、CCDを選んだ理由はレコード会社などにも記録がなかった。
中村さんは、収録曲の「ヤマトより愛をこめて」について「沢田研二さんの大ヒット曲が歌えて光栄だった」。武内さんは「みんなが感情を込め、歌い終わった時にはスタッフが涙ぐんでいた」と振り返る。