【漫画】中学生とフシギなお兄さんが織り成す奇妙な体験。さわやかで胸キュンなBL要素にオカルトが絡む、不思議な作品にハマる人が続出!【作者に聞く】
夏休み、ヒマを持てあます中学生の目の前に現れたのは オカルトやホラーが好きなフシギなお兄さん。軽い気持ちでついていってみることにしたけれど……!? 【漫画】本編をイッキ読みする 男子が出てくる少し不思議な漫画や、自分の身の回りのレポ漫画などを描く尾花せいご(@seishoobi)さん。「懐かしくてSF(すこし・ふしぎ)なビミョウな距離感の男子2人を描きたい」という尾花さんの作品は、ほのぼのとした風景の中に少しのオカルト要素を盛り込んだ、独特の世界観が特徴だ。 夏休みにフシギなお兄さんと出会う「さざなみ」、その少年とお兄さんが大晦日をまたいで12月32日に行く「こよみのはて」も、尾花さんの個性が光る作品。どこか怖い空気感があるのに、読後はさわやかな甘酸っぱい気持ちで満たされる。そんな作品の制作秘話を作者に訊いた。 ■子どものころから山岸凉子の「恐怖」と「怪異」に触れて育った 「小さいころから漫画を読む機会に恵まれていたと思います。気づいたら絵を描くことが好きになっていました」と尾花さん。同人誌を作るようになり、その宣伝のためにXなどのSNSでイラストや漫画を発表するようになったそうだ。 オカルト系のような世界観が尾花さんの作品の真骨頂。このアイデアに至った経緯やきっかけを聞くと、「親の趣味が遺伝しているような気がします。山岸凉子先生の短編作品や某スーパーミステリー・マガジンを読んで育ちました」とのこと。「作品のネタや発想は、身の回りからインプットしたことを、頭の中で混ぜ合わせて、紙にごちゃごちゃと書き出しています。アイデアをあたためるために近所の川の周りを散歩したりします」 ■自分が好きだから「BL的におわせ」を作品に入れ込む 「さざなみ」「こよみのはて」に共通して登場するのは、どこにでもいる中学生と、ちょっと不思議なお兄さん・ささくらさん。「2人のキャラクターをデザインする際には、違う人間に見えるように雰囲気作りをしました。ささくらさんの目のデザインは、懐かしめ漫画の雰囲気を出せて気に入っています」とキャラクターデザインへのこだわりを聞かせてくれた。ストーリーは描きたいシーンから思いついて、そこからストーリーを肉付けしていったとも。 作中では、ホラーチックな緻密な描きこみについつい話に引き込まれてしまう。「背景の描きこみの細かい絵に憧れているんです。手描きの描線には、感情というか、重さやおどろおどろしさがこもるような気がしています。難しいこと抜きに、第一にペンで線を描くのが好きで、ついつい描きこみをしてしまいます」 この作品をSNSでアップした際には、同人誌即売会などで「SNSを見て興味を持ちました!」と声をかけられるようになったそうだ。 尾花さんの作品には、スパイス程度にBL要素も入っている。「自分が漫画の中に、『BL的におわせ』があるとうれしいタイプなんです。はっきりと恋愛として描かれるよりも、心のどこかが溶かされているような距離感にときめくので、作品にもそんな要素を入れたりします」 独特のタッチと不思議なキャラクターを織り交ぜ描かれる尾花さんの作品。少し奇妙な世界観とキャラクターの繊細な心理描写は、読んでいるとどんどん引き込まれていく不思議な魅力がある。奇妙な味わいと清涼感あるBLの世界観をぜひ体験してほしい。 取材・文=日高ケータ