インバウンド需要で「シニア求人」が急増中。高齢者の活用はオーバーツーリズムの解消につながるのか
1社の救世主にならシニアでもなれる?
一部のシニア人材のスキルだけを見れば、長期間の教育を提供しなくとも入社当日から訪日観光客を唸らせるような高級和食を調理できるシニアもいれば、外国人に適切な説明を行い、ルールとマナーを守ったスムーズな観光を提供できるシニアも確かに存在するだろう。 だが残念ながら、そうした有能なシニアはレアキャラであり、日本のオーバーツーリズム全体を解決できるほどの人口ではないのが実際だ。とはいえ、1社単位で見ればその戦力は大きく、シニアであってもすぐに採用が決まるのも納得である。 最後に希望のあることを述べるとすれば、AIなどの技術革新が進み、国も様々な規制緩和などの施策を打ち出しているため、オーバーツーリズムの現場も刻々と変わっている点が挙げられる。 例えばライドシェアや、ホテル・旅館、またはガイドなどが自家用車で観光客を案内することも可能になっているため、こうした分野でシニアを積極的に活用することで、日本の人材不足とオーバーツーリズムの対策になっていく可能性は十分にあるのではないだろうか。 【中島康恵】 50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
日刊SPA!