【大分】時速194キロ裁判 あす判決
大分朝日放送
194キロで車を走らせ起こした事故が「危険運転」に当たるか問われている裁判。 28日、判決が言い渡されるのを前に遺族が今の心境を語りました。 (遺族 長文恵さん) 「2週間(の裁判を)終えて、今はもう私にはやることがないというかやれることはやってきたという気持ちなので、あすを待つだけという感じでいる」 2021年2月、大分市の県道で当時19歳の男が時速194キロで運転する車と交差点を右折しようとしていた車が衝突し、小柳憲さん(当時50歳)が亡くなりました。 11月5日の初公判で被告側は、過失運転致死罪については認めましたが、危険運転致死罪には当たらないと主張しました。 検察は15日の裁判で「過去の判例を参照しより重い刑が相当」と懲役12年を求刑しました。 (長文恵さん) 「(過失か危険か)どちらになっても私の中では勝つものはないんですよ。どちらになっても家の中は変わらなくて弟は帰ってこない。それよりもあすの判決はこれからの交通死亡事故を考えることの1つになる」 裁判の争点、危険運転の適用については国で条件を見直す動きも出てきています。 一方で、長さんはあくまで今の法律で闘わなければならないと複雑な胸の内を明かしました。 (長文恵さん) 「私が戦っているのは、現行法の中で(危険運転が)認められるのかどうかということだけなので、法改正でどのような形になったとしても(今回の裁判には)適用されない」 過失なのか、それとも危険運転なのか。 全国的にも注目の裁判、改めて、争点と双方の主張を解説します。 (小栗アナ) 注目の裁判改めて2つの争点と、検察側・弁護側の主張をみていきます。 1つ目、「被告の車が制御困難な高速度だったか」です。 検察側は現場の路面は凹凸がある。194キロで走ると視野が狭まり少しの運転ミスで事故を起こす恐れがあるとして制御困難だったと主張。 一方、弁護側は、「ぶつかるまでまっすぐ走れていた道路を逸脱してもいない」として「制御できていた」と主張しています。 もう1つの争点は「妨害運転かどうか」です。 被告の車は時速194キロで道路を直進していて、右折しようとした被害者の車と衝突しています。 検察側は「このとき被告が右折車に気づいても衝突は避けられず右折車に急な回避行動を取らせるしかない」として「妨害運転にあたる」と主張。 一方、弁護側は、「右折してくる特定の車の通行を積極的に妨害する意図はなかった」として「妨害運転ではない」と主張。 「そもそも妨害目的というのは割り込みやあおり運転などを指すため今回はあたらない」としています。 こうしたことを踏まえて検察側は「危険運転致死罪が成立する」として懲役12年を求刑。 一方の弁護側は説明した2つの理由などから「危険運転致死罪は成立せず過失運転致死罪」としています。 過失なのか危険運転なのか判決は28日の午後言い渡される予定です。