グーグルがリストラクチャリングを加速、レイオフ拡大とインドとメキシコでの雇用を増やす計画
新興国へのシフト、リストラクチャリングを含むグーグルの成長戦略
今回のリストラクチャリングについて、グーグルデベロッパー・エコシステム担当バイスプレジデントのアシム・フセイン氏は、「パートナーやデベロッパーコミュニティにより近い場所で事業を展開するため、現在のグローバルな拠点を維持しつつ、急速に成長するグローバル労働力の拠点も拡大する意向だ」と社内メールで、その方向性について述べている。 グーグルの主力スマートフォンの製造が、委託企業によってインドで行われる予定であることには触れたが、アップルも既存のサプライチェーンの少なくとも半分を中国からインドに移し、直接雇用をインドで拡大しようとしている。 大手IT企業にとって、可処分所得の中間層の割合が増加しており、人口規模も大きいインドのような国において、完成品の輸入にかかる関税を支払わずにすみ、コスト削減可能な国内生産を進めるために製造拠点を置くこと、またそれに伴って、開発事業の拠点もシフトするのは自然な流れだと言えるだろう。
レイオフの嵐の中、社員の間では士気低下も
しかし、当然ながら、この流れにグーグル社員の間には不安と不満が広がっているようだ。 エンジニア部門だけでなく、不動産部門と財務部門の複数のチームにも及ぶレイオフだけでなく、イスラエル軍とのクラウド契約をめぐってニューヨークとカリフォルニアのオフィスで座り込み抗議活動を行った社員約50人の解雇など、グーグルでは、社員が経営陣に不満を募らせるような出来事が続いている。 今年に入ってからは、全員参加の会議で、同社の堅調な収益にもかかわらず、コスト削減と昇給の欠如による「士気の著しい低下」を挙げ、幹部に対する不満を強く示す社員の姿も報じられた。 2023年の初めに1万2,000人の従業員を解雇すると発表した後、継続的に人員削減を行っているグーグル。日本でもトヨタと並び「働きたい企業」のトップに名を連ねるグーグルにとって、どのようにしてこれらの課題を乗り越え、持続的な成長を実現するかが今後の焦点となるだろう。
文:大津陽子/編集:岡徳之(Livit)