登校しなくても欠席にならない「ラーケーション」とは?学習×休暇が生み出す可能性と課題
一部の自治体や学校で「ラーケーション」を取り入れる動きが始まっています。新たな学びのスタイルとして注目を集める「ラーケーション」とはどのようなものでしょうか。今注目を集める背景や、取り組むメリット、そして現在の課題を解説します。
ラーケーションとは?
ラーケーションとは、《ラーニング:learning》(子どもの学び)と、《バケーション:vacation》(保護者の休暇)」をかけあわせた造語で、子どもが保護者等とともに、学校外での体験や学びを目的として休暇を取得することを指します。 子どもが学校以外の場所で体験活動などをすることで、学校だけではできない学びを深めることが期待されています。たとえば、地域の博物館や史跡を訪れたり、公園の植物を調べたり、登山やキャンプなど五感を使った体験をしたりといった活動が想定されます。 都道府県や市区町村などの自治体ごとに取り組んでおり、都道府県単位で導入したのは愛知県が初めてで、茨城県、山口県が続きました(2024年7月時点)。市区町村単位では、大分県別府市、沖縄県座間味村などが導入しています。
ラーケーション導入の背景に、社会の働き方・休み方改革の必要性
ラーケーションが注目される背景には、日本の「休み方」に関する課題があります。 まず、日本の有給休暇の取得率は、世界的に見ても低いことが明らかになっています。加えて、休暇は個人で好きな時に取るのではなく、業種や職種の慣例に沿った特定の曜日に休む文化が根強いため、業種によっては休日そのものが少なかったり、平日にしか休めなかったりします(*1)。共働きの家庭が増えていることもあり、大人も子どもも、より充実した休みを取れるようになる工夫が求められているのです。 そこで、保護者の休みに合わせ、子どもが学校外での体験や探究的な学び等を実践できる取り組みとして「ラーケーション」が注目されています。 *1 総務省「2021年社会生活基本調査」によると、有業者のうち平日に働いている人の割合は83%、土曜日に働いている人の割合が46%、日曜日に働いている人の割合は30%。