〈奥能登豪雨〉チームワークで泥撤去 門前高野球部ら 仮設などで汗
●住民「若い力助かる」 輪島・浦上 門前高の野球部員48人が28日、奥能登豪雨で浸水被害を受けた輪島市門前町浦上の仮設住宅や公民館で泥かきのボランティアに励んだ。周辺では乾いた泥や砂が住民の目を痛めたり、家の中に吹き込んだりしていた。部員は砂ぼこりが舞う中、ゴーグルとマスクを着けて堆積した土砂を片付け、住民から感謝の声が聞かれた。 浦上地区総区長を務める浦上公民館の喜田充館長(75)によると、地区では浦上川が氾濫して仮設を含む住宅が浸水し、道路や公民館の敷地などに大量の土砂が積もった。喜田館長が門前高の校長や野球部顧問を務めていたことから、野球部員が力になりたいとボランティアを提案した。 部員のほか、保護者約30人も訪れ、公民館や仮設住宅の周りに積もった泥をスコップで集めて袋に詰め、流木などのごみを回収した。集めた土やごみは、災害ごみ置き場に運ぶトラックに積み込んだ。野球部のアドバイザー山下智茂さん(元星稜高監督、門前町出身)も作業に参加した。 仮設住宅に住む畑茂さん(73)は、砂ぼこりの中で作業する部員の様子を見て「この砂のせいで洗濯物も干せん。若い人が撤去を進めてくれて本当に助かる」と感謝した。 ●公民館周辺、7割が65歳以上 喜田館長によると、公民館周辺の仮設住宅に住む約70世帯のうち、7割が65歳以上で、住民だけでは重い土砂を運ぶ作業が難しい状況だった。喜田館長は「若者が来てくれると地域に元気が出る。部員の優しい心に感謝している」と語った。 1年の白崎達也さん(16)=輪島市海士町=は「こんなひどい状況だとは知らなかった。少しでも苦しんでいる人の力になれればいい」と話した。作業は29日も実施する。