今季女子ツアー7戦4勝…なぜ20歳の西郷真央はこれほどまでに強いのか…ジャンボ絶賛のゴルフ頭脳とリカバリー率の改善
この15番は428ヤードと距離の長いパー4で、今大会の平均ストロークは4.2772で最も難しいホールだった。前日までとは逆の強いフォローの風が吹いた最終Rの平均ストロークは4.1964と難易度は下がったが、バーディーはわずか1個。 フォローの風でグリーンは狙いやすくなったが、アゲンストの風に比べてグリーン右サイドの奥に切られたカップの近くにボールを止めるのがいかに至難の業だったかがわかる。 それを2打目でカップイン。残り169ヤードを6番アイアンで直接放り込んだ西郷のイーグルはまさに神がかりともいえるが、自らの“解説”を聞くと、今季の西郷の強さの秘密が見えてくる。 「ライはつま先下がり。風は強いフォローなのでフルショットだとグリーンをオーバーする。ライに対応しながら少し抑えたショット。グリーンセンターを向いて、傾斜で右に流されてピン方向に行ってくれたらと思った」 結果はたまたまかもしれないが、そこまでの過程は計算ずく。必然の偶然ともいえるイーグルは、オフに徹底的に鍛えた100ヤード以内とグリーン周りのアプローチの延長戦上にある成果の賜物ともいえるだろう。 昨季のパーオン率は74.54%で3位とショットの精度には定評があったが、リカバリー率は63.65%で24位。グリーンを外したときに、いかにパーをセーブするかが初優勝のカギを握っていた。 「これまでは満足いくショットが打てるようになってから、アプローチやパターの練習に行っていた。それだとちょっと疲れた状態でやっていたので、練習量が少なかった。比率は5対5くらいだったけど、このオフは8対2でアプローチとパターを重視した」 様々なライを想定し、自在にクラブを操る感覚を磨いた。今季はまだ7試合ながらリカバリー率は77.78%と大きく改善し、堂々の1位。パーセーブ率も92.42%で1位、平均ストロークも69.36で文句なしのトップだ。22ラウンドでボギーはわずか28個と抜群の安定感を誇り、開幕から7試合連続でトップ10入り。 次戦の国内メジャー「ワールドレディス選手権サロンパス杯」でツアー2位タイの記録に並ぶ。 「今年初めてのメジャー。セッティングも難しくなると思うので、しっかり対応したい。自分らしいプレーができるようなマネジメントを考えて、コースチェックをしたいですね」 3月の開幕戦を制したときに、師匠の尾崎将司から届いたお祝いメッセージにこんな一文があった。 「何といってもゴルフに対する考え方や取り組みが優等生で、プロの中でもその“ゴルフ頭脳”はトップではないかと思うときがある」 ジャンボが惚れ惚れするほど、瞬時に最高の一手を考える天性ともいえる“ゴルフ頭脳”があり、それを実行できる技術を努力によって身につけた。そして今季は何より気力が充実している。プロ3年目の20歳は、どこまで強くなるのだろうか。