韓国大統領「防御用兵器」のウクライナ供与を検討 北朝鮮のロシア派兵に対抗
【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は7日、ソウルの大統領府で記者会見を開いた。尹氏は、北朝鮮がウクライナを侵略するロシアに派兵したことを受け、北朝鮮の将兵が戦闘に関与する度合いに応じ、ウクライナに対する「兵器支援も排除しない」と表明した。支援する場合、「防御用兵器」から優先的に検討する考えを示した。 尹氏は10月下旬、殺傷兵器を供与しないとする方針の見直しを示唆していた。ウクライナのゼレンスキー大統領は韓国KBSテレビのインタビューで「韓国に最も求めているのは防空システムだ」と語っていた。 尹氏は会見で、派兵の見返りとしてロシアから北朝鮮へ、韓国の安全保障にとって「致命的な脅威になり得る軍事技術」が移転される可能性があると指摘。北朝鮮が派遣したとされる特殊部隊が現代戦の経験を積むことになっても、「韓国の安保にとって致命的な問題」になると危機感を示した。 尹氏は、米大統領選で勝利したトランプ前大統領が再就任した後も「韓米日3カ国の協力は順調に進むと考える」と強調。トランプ政権下では経済の不確実性が増すとの指摘には「国民の経済損失を最小限にとどめるために多角的に努力している」と説明した。 記者会見では、尹氏自身や妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る選挙への不正介入疑惑に関する質問と釈明が繰り返された。尹氏は質疑に先立ち、「私の周辺のことで国民に心配をかけて申し訳ない」と陳謝した。