ハリス氏敗因は何か 専門家が分析 米大統領選
【AFP=時事】経済政策、移民問題、バイデン政権の副大統領──ヒートアップした米大統領選の騒乱がようやく収束し始めた中、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の再選を阻止できなかった理由について、専門家が逆風を生んだ主要な要因を指摘している。 【写真8枚】カマラ・ハリス副大統領の敗北宣言を聞く支持者、他
■経済の停滞
「経済こそが重要なのだよ、愚か者」
この言葉は、民主党の戦略家ジェームズ・カービル氏が、1992年の大統領選でのビル・クリントン氏の勝因について説明した際に広まった。
あれから30年。このフレーズは依然として有効だ。ジョー・バイデン政権下でインフレが進み、ハリス氏が有権者の支持を獲得できなかった背景には経済の停滞がある。
新型コロナウイルスの感染拡大後の高インフレで、世界中の与党が同様に敗北を喫している。
最近数か月の米国経済は着実に改善しているものの、さまざまな世論調査では依然として有権者の不満が広がっており、トランプ氏は選挙期間中に食料品やガソリンの価格上昇をめぐってハリス氏を執拗(しつよう)に攻撃した。
「有権者は今なおインフレを問題視している。経済学者のように前年比率で考えるのではなく、物価水準で考えているからだ」と英調査会社オックスフォード・エコノミクスのバーナード・ヤロス氏は指摘。
「必需品が家計の大幅を占めていることに有権者は不満を抱いている」とAFPに述べた。
■押し寄せる移民
米リッチモンド大学法学部のカール・トバイアス教授は、大方の予想を覆してトランプ氏が勝利した2016年の大統領選と同じく、移民問題は今回もトランプ氏にとって「明らかな勝因の一つ」だと述べた。
トランプ氏は公約で、バイデン・ハリス両氏の政権下で米国に流入した数百万人の移民を国外追放する大規模な計画を進めると明言している。
バイデン氏が厳格な大統領令を発令した結果、この数か月は不法入国が急減していたが、昨年の移民流入数は記録的なものとなったため、トランプ氏や共和党陣営はこれを「侵略」だと非難していた。