「“自炊する高齢者”は孤独になりにくい」納得の理由 医師が指摘「単身者ほど料理をしたほうがいい」
ちなみに、料理を作るようになったきっかけは、ロブションのジャガイモのピュレ。あの有名なフレンチの巨匠ジョエル・ロブションの名を高めた料理です。じつはこの料理、それほど難しくはありません。 材料は、ジャガイモ、バター、塩、牛乳といたってシンプル。 それらをロブションのレシピに従って作っていくと、1時間以上はかかってしまいますが、バター、塩の絶妙な配合により、ただのマッシュポテトが、一流のフレンチの味になるのです。
なお、ロブションもこのレシピを完成させるまでに、非常に苦労したようです。 簡単な素材だけでここまでの味を出せるのかと思うと驚くばかりですが、ここに料理の原点があるように感じます。 つまり、素材は素朴であっても、創作の努力によってまったく違う世界が見えてくるというわけです。それこそが、料理の面白さであり、醍醐味です。 ■一人でなく食べてくれる人を探す 一人でいくらおいしいものを作っても、食べるのが自分だけなら、面白いわけがありません。
料理は人に食べてもらってこそ、本当の評価がわかりますし、一緒に食べる楽しさがあります。 配偶者の死によって、男性であれ女性であれ、一人住まいは決して珍しいことではありません。65歳以上では3割くらいが一人住まいです。 だから一人で料理を作って一人で食べるというのは、高齢者では普通のことになっています。 しかし、それではどうしても、お腹を満たすだけの食事になりがちです。 料理を作ったら、一人だけで食べるのではなく、なんとかしてだれかに一緒に食べてもらう。
一緒に食べてくれる人を見つけるというのはなかなか難しいですが、非常に大切なことだと私は考えています。 例えば、だれかに「おいしい」と言われることは、じつは脳にとっても非常に大切です。 褒められることで脳のドーパミンが分泌されますから、快感や達成感になり、また料理を作ってみようと感じるわけです。 カーネルサンダースは子どものときに、自分の作った料理を母親に褒められた記憶が鮮明に残っていて、それがフライドチキンを作る原動力にもなったと言います。