「“自炊する高齢者”は孤独になりにくい」納得の理由 医師が指摘「単身者ほど料理をしたほうがいい」
脳神経内科が専門の医学博士で、老人医療・認知症問題にも取り組む米山公啓氏による連載「健康寿命を延ばす『無理しない思考法』」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。 【写真】人が80代になって後悔する事 ■一人で作る料理が面白くない 私の患者さんで奥さんが先に亡くなって、80歳を過ぎて初めて台所に立ったという人がいます。 この方の世代では、料理は奥さんに任せっぱなしで自分は食べるだけ、という人も少なくないようです。
私の10年先輩の医者も似たような感じでしたが、「さすがに最近は皿だけは洗うようになったよ」と漏らしていました。 男性が台所に立って料理を作るのは普通のことになってきましたが、75歳以上の団塊世代では、料理を作ったことがないという人も多いようです。 しかし、いまや長寿の時代。これまで自分では料理をせず、家事のすべてを任せてきた人であっても、台所に立って料理を作らねばいけないときが必ずやってくるでしょう。決して他人ごとではなのです。
とにかく食べられればいいというレベルなら、コンビニがあります。コンビニの冷凍食品を買ってきてレンジでチンするだけで、それなりにおいしく食べられるのです。 やはり、これだけでは料理とは言えないでしょうが、空腹を満たすことだけが目的であれば、それで済んでしまうかもしれません。 しかし、もう少しレベルを上げることもできます。料理を作れば、それ自体が楽しみになり、脳にもいい刺激になるのです。 何事もそうですが、「まあ適当でいい」という発想では楽しくなることもなければ、脳への刺激にもなりません。
「ただ食べられればいい」という考えで毎日の食事をとっていては、食事は空腹を満たすだけの、味気ないものになってしまいます。 ■作りだす喜びと面白さを とはいえ、一人で食べるために、わざわざ料理をしても面白くもなんともないと思うかもしれません。 実際のところ確かにその通りなのですが、料理をすること自体に創造性が加わってくれば、料理の時間は意外に楽しい創作の時間になってきます。 私自身、結構料理を作ります。といっても、手の込んだものはよほどでないと作りませんが。