「一見さんお断り」にも合理的な理由がある…京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」の仕組み
料理代もお花代(芸舞妓さんの派遣料)も「おとも」(タクシーのことを「おとも」と呼ぶ)の料金も、全部、全部、お茶屋さんが立て替えて支払って、一括請求する仕組みです。 これも、お客さまがもてなす大切なお客さまにお金の気を遣わせないっていう、思いやりから出たシステムなのでしょうね。なんだか粋ですね。 こんなふうに、自分を思ってくれるお母さんの料金を踏み倒すってできるでしょうか? そもそも、そんな人だったら、なじみの客にも至らないでしょう。自分が大切だと思う人を誠心誠意もてなし、喜ばしてくれるお母さん。そんな姿勢に、お客さまも、お母さんを信頼しています。
だから、ちょっとした知人に気軽に「お茶屋さんを紹介して」といわれたところで、やすやすと大事なお母さんを紹介するわけにはいきません。「この人だったら、大丈夫! お母さんもきっと喜ぶはず」と思える人でないと、おいそれとお母さんには、紹介しないわけです。万が一があったら、この人の料金も俺が払うくらいの心意気を常連さんは持っています。 すごい仕組みだと思いませんか⁉ 信用し、信頼され、店とお客さまを超えた関係性。そんな商売ができたら幸せですね。
入口 純子 :税理士、アンビシャスグループ代表