「一見さんお断り」にも合理的な理由がある…京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」の仕組み
これは、別に偉そうぶったり、よそ者を排除するとか、そういう嫌味なことが目的ではありません。そうではなくて、「お客さま第一!」の表れなんです。 お茶屋のお母さん(経営者をそう呼びます)は、お客さまを本当に大切にしています。だから、お客さま本人はもちろん、「お客さまが連れて来られるお客さま」を喜ばせる場、時間にするために、全身全霊でプロデュースします。 また、なじみのお客さまからの紹介であれば、受け入れもします。だって、お客さまがお茶屋さんに連れてくる人、紹介する人って、お客さまが大切にされている方で、大切な人の大切な人を大切にすることが、お客さまを喜ばせることにつながるからです。
最高の時間と場にするためには、お客さまのことをよく知る必要があります。お客さまの好み、利用される背景、どんな関係性で、この時間がどんな時間になれば、喜ばれるのか……などなど。だからこそ、パッと入ってくる、情報のない、いわゆる「一見さん」を受け入れることはできないのです。おもてなしのクオリティを維持できないため。 それもこれも、お客さまを喜ばせたいから。喜ばし、喜ばれ、さらに喜ばす関係性を時とともに積み重ねることで、ただのお客さまとお店の人なんて関係じゃなく、パートナーのような信頼関係が築けるのです。
お茶屋の経営者のことを親しみを込め「お母さん」と呼ぶ習慣も、そんな関係性を築く一助になっているように感じます。 ■すべて“掛け”払いは、究極のキャッシュレス さて、話を戻します。「恐るべし 絶対、貸し倒れしない! お茶屋さんの仕組み」です。 実は、お茶屋さんへの支払いは、すべて“掛け”なんです。その場では、お金の話はいっさいなし、現金もクレジットカードも見ることはありません。いまよりずっと前から究極のキャッシュレスだったのです。支払いは、後日、請求書が来て、支払うというシステムです。