「一見さんお断り」にも合理的な理由がある…京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」の仕組み
日本には、創業から100年以上続く老舗企業が4万社以上もありますが、中でもその出現率ナンバーワンを誇るのが京都です。そんな京都で税理士を営むアンビシャスグループ代表の入口純子氏は、京都で老舗が残り続ける理由として、「お金を貯めることを目的に経営していない」ことを挙げています。 入口氏が指摘する「目先の利益」にとらわれない京都の老舗ならではの流儀とは、いったいどんなものなのでしょうか。 ※本稿は、入口氏の著書『お金は使うほど、会社は強うなりますねん 京都の老舗を見てきた税理士が教える経営と会計』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
■江戸時代から続く老舗の驚きの“現在地” 京都には、松栄堂さんというお香を製造販売する老舗企業があります。創業は1705年ごろ。1705年といえば……。江戸時代! 暴れん坊将軍でおなじみの徳川吉宗公がまだ21歳という時代。 そんな時代から商売が続いている会社さんってすごいですよね‼ 江戸時代から、お香をつくり続ける老舗企業って、どんなイメージを持ちましたか? 古びた京町家の畳ひと部屋で、年配の職人が寡黙にお香をつくっている⁉
そんなことをイメージしたあなた。残念ながら、ブッ、ブ~(失敗音)です。 工場での機械化が進んでいます。WEBショップはもちろん、お洒落でモダンな直営店舗では、さまざまな体験プログラムが用意され、京都本店併設の薫習館(くんじゅうかん)という体感施設には、修学旅行生たちもたくさん訪れます。最近では、お香の入った「ガチャガチャ」まで置いてあって、若い子たちに人気です。 お店は、日本だけにとどまらず、平成2年には早々にアメリカ法人を設立し、海外進出! っていうか、なんと、明治30年には、それまでの伝統的な香に加え、技術の粋を結集して、諸外国の生活様式にもふさわしい「香水香(こうすいこう)」を開発し、日本初のアメリカへの輸出に成功したというから、驚きです。