LINE友だち1000人以上――MCオファーも絶えないバイきんぐ小峠英二の「人間味」
「なんでもいいんです。食べ物、映画、趣味、休みの日に何をやっているかとか。好きなもの何ですか? ってよく聞きますよ。『好きなものは何? → 焼き肉が好きですよ → どういう焼き肉が好きなの? 』。その中でおかしなこととか気になるところがあれば『何なのそれ? どういうこと? 』。基本、自分の話はしないです。相手の話を聞きます。好きなことをしゃべるわけだから相手も嬉しいですよね」 連続した質問は「自分はあなたに興味がある」というメッセージにもなる。そして、質問を掘り続ければ何かあるはず、そう信じて疑わない姿勢こそが、彼の人間味の正体だろう。
誰よりも売れない芸人の苦悩を知るMC
西村瑞樹と組んだバイきんぐは、結成から16年の間、鳴かず飛ばずだった。そんななか「キングオブコント2012」で優勝を果たし、ようやくチャンスをつかんだ小峠。新チャンピオンとして招かれた番組。千載一遇のチャンスをものにしようと思えば思うほど、空回りしてしまうものだが、大物芸人からのフリにも堂々とした返しを見せた。 「16年ダメだったので。もうあのバイト生活に戻るのは嫌だって思いがあって、とにかく笑いを、結果を求めていました。もちろん緊張もあったんですけど、それ以上に楽しかったです。ずっとテレビに出たいと思っていて、憧れの人たちと絡める、その嬉しさが勝っていたんだと思います」 その後も舞い込む仕事で次々と成果をあげて、今やゴールデン帯のメインMCや進行も務める。そんな小峠が得たMCの極意とは何なのだろうか。当人には特にMC願望はないようだが……。 「どんな状況でもその場の人を救おうとすることです。初めて進行を任せられたのが『有田ジェネレーション』(TBS系)だったんです。地下芸人がネタをやって、時には僕がそのネタの途中に入って説教するみたいな番組で。それを一番最初にやっちゃったから、どうしようもない人間でもなんとか力ずくでも笑いに持っていけないかなって。質問することが染みついているから、何か落としどころないかなと思って何ターンかしたりして」 「もちろんぶった切って笑いにするっていう手法もあります。ダウンタウンの浜田さんがすごいなと思うところはそこで。『はい、次いきましょうー! 』でバンと切ってその一言でお笑いになる。タイプが分かれるんですけど、僕はなんとかなんないかなって粘っちゃうんです」 売れない芸人が正念場に挑む心境は誰よりもわかっている。その厚情がMC術ににじみ出ている。