Apple Watch Series 10のデザインと機能を徹底解説。「脱エルメス」の理由(石野純也)
「Apple Watch Series 10」を発売日ゲットしてから、1カ月が過ぎました。この手のウェアラブル端末は長期間使っていないと分からないことも多いため、毎日装着するようにしています。筆者が購入したのはチタンモデルですが、Series 9までのステンレススチールモデルと比べ、かなり軽量化されているため日々使っていてもストレスがありません。 【この記事の他の写真を見る】 (▲薄く、軽くなったApple Watch Series 10。筆者はチタンモデルを購入した) それもあって、今回はいわゆる大サイズの46mmを購入しました。筆者はSeries 8まで小サイズ(Series 8では41mm)を選択していたので、Series 10へのアップグレードでサイズ変更した格好です。大サイズは画面サイズが2インチと、Apple Watch Ultra/Ultra 2よりもやや大きめ。細かなテキストまで腕元でしっかり確認できるのが魅力です。 (▲単体の写真だと分かりづらいが、大サイズに変えたことで文字も大きくなり、やや遠くからでも読みやすくなった) また、Series 8からSeries 10に機種変更したことで、Series 9で対応したジェスチャー操作もできるようになりました。腕を上げて、人差し指と親指をトントンとダブルクリックするあれです。Series 9もレビュー用機材は試用し、その利便性は実感していたものの、購入は見送っていたこともあり、実利用環境には取り入れられていませんでした。 実際、この機能は使ってみるとかなり便利です。CMのようにそのまま音声入力でメッセージを送信する……ところまではいきませんが、メールやメッセージを確認して返信が必要かどうかを判断したり、ワークアウトの計測を開始したりといった操作を片手でできます。バッグを持っていたり、自転車を支えていたりして片手しか使えないようなケースでも、アゴを使う必要がなくなりました(笑)。 (▲Series 8からのアップグレードだと、ダブルタップのジェスチャー操作も初めて使えることになる。片手がふさがっている時に非常に便利だ) 実はこの機種変更を機に、Hermèsモデルもやめてしまいました。Hermèsモデルを選んだきっかけは、レザーバンドを単体購入したSeries 3ぐらいまでさかのぼります。当時は本サイトの前身(?)でもあるEngadget 日本版に“なんちゃってエルメス”と書いて一部で物議をかもしてしまったのも懐かしい話。その節はご迷惑をおかけしました>現編集長 その後、結局は文字盤もHermèsの方がいいということになり、Series 4以降は2年に1回ぐらいHermèsモデルをチョイスしていました。 筆者の中では、Apple Watchと言えばHermèsというぐらい当たり前のものになっていた次第です。では、なぜ今回ノーマルモデルを選び、サイズ変更したかというと、主な理由は3つぐらいあります。 (▲初めて買ったApple Watch HermèsはSeries 4だった。写真は当時のEngadget日本版に提供したものをそのまま再掲載) 1つ目はシンプルに価格の高騰。輸入製品の宿命でもありますが、昨今の円安を受け、Apple Watchも以前より価格が上がっています。HermèsモデルもSeries 4のころは13万円ほどで手に入りましたが、今では最安でも20万円弱に。それでも高級腕時計よりは安いのですが、数年でポンポン買い替えるような金額ではなくなってきているのも事実です。 さすがに数年で買い替えるスマートウォッチとしては高すぎるというのが本音。これに対し、筆者が購入したノーマルのSeries 10はチタンモデルで約11万円からとまだ手が出せる価格に収まっています。徐々にかつてのHermèsモデルに近づいており、十分高級になっているのは非常に気になりますが、チタンモデルのメタリックな輝きはやはり高級感があります。 (▲最小構成でも約20万と、なかなか手が出しづらい価格に……。円安はもうええでしょという気持ちになる) サードパーティと言っていいのかどうかは分かりませんが、国内外のアパレル/アクセサリーブランドが作ったバンドが充実してきているのも、Hermèsモデルをやめた理由の1つ。販売量が多いのはもちろん、初代モデルからずっと同じラグを継続しているアップルの功績もあって、世の中にはかなりのバリエーションのApple Watch用バンドが出回っています。 一方で、これをHermèsモデルに装着するのは何か違うような気もします。アディダスのジャージにナイキのスニーカーを合わせるような違和感に近いと言えば、分かってもらえるでしょうか(笑)。たまたま今回、どうしてもほしい二重巻きのバンドが日本のToga Tooというブランドから出ていたため、それを使うためにあえてノーマルモデルを選択した側面もあります。 (▲Series 10のために購入したバンド。レザーと金属の組み合わせで二重巻きになっている。アクセサリーのようなデザインが魅力) この二重巻きバンド、小サイズと大サイズそれぞれに合わせたものがありますが、小サイズ用は長さが足りず、腕に巻けないことが発覚。Hermèsのドゥブルトゥールもそうですが、どうもこの手のバンドは小サイズ向けだと短く作られがち。腕の細い男性はいいのですが、平均的な男性にはややキツイ作りになっています。今回、46mmにサイズ変更したのもそのためです。 最後の理由は、謎の上から目線で恐縮ですが、アップル自身の文字盤のデザインがブラッシュアップされてきたこと。特にwatchOS 8で追加された「輪郭」や「GMT」は、デザインも洗練されていて使ってみたいと思っていました。一方で、HermèsモデルにSeries 10で追加されたのは、どちらかと言えばUltra向きの文字盤。輪郭やGMTを使うのに、わざわざHermèsモデルをチョイスする必然性はありません。 (▲世代を経るに従い、アップルのデザインした文字盤も洗練されてきた。筆者のお気に入りは輪郭、クロノグラフプロ、GMTの3つ。バンドに合わせて切り替えながら使っている) ただ、Hermèsのバンドも時には装着したくなります。特にSeries 9でアップルが販売するモデルからレザーバンドを廃したことで代わりに追加された「キリム」は、わざわざバンド単体で購入したほど気に入っていました。素材はフルオロエラストマーですが、Hマークで凹凸がつけられており、表情があるデザインに仕上がっていて、なおかつ着け心地もよく、耐久性が高いので悪天候でも気にせず使えるのが魅力でした。 (▲結局キリムも再購入してしまった) 大サイズに買い替えたことで、今まで使っていたキリムが装着できなくなってしまったのはなんとも残念……と思っていたのですが、どうしてもほしくなり、またまた46mm用のキリムを単体購入してしまいました。Series 3以来の“なんちゃってエルメス”復活です。ただし、キリムはバンド単体でも人気があり、色によっては現在も入手困難な状況が続いています。 筆者はオレンジの在庫が復活した際にアップルストアでゲットしたものの、ほかの色はHermèsの店舗でも在庫が切れていました。本稿執筆時点では、46mm用だとオレンジのみ、アップルストアに在庫があるようです。フルオロエラストマーながら5万円超えとなかなかのお値段ですが、欲しい人は在庫があったら即入手する心づもりでいた方がいいかもしれません。
TechnoEdge 石野純也
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