松屋、コメダなど絶好調企業のあおりを食らう業態も……“二極化”進む外食の「コロナ後遺症」脱出事情
● 学歴、資格、経験の有無は関係なし 店舗勤務からキャリアアップ可能 就職に際して、特に学歴や資格は求められないケースが多い。未経験でも働けるが、アルバイトなどで接客経験があれば有利だ。 入社後は一定の研修を受けた後、店舗に配属される。多店舗展開している飲食チェーンなら、ホールスタッフが幹部社員養成の出発点と位置付けられることもある。 店舗で経験を積む中で、接客やサービスのスキルを磨いていくのがキャリアアップには必須だ。補助的な業務から始め、主任、店長、複数店舗を統括する地区マネジャー(スーパーバイザー)とステップアップし、本部で適性に応じた職務に就くこともある。 厚生労働省が定める技能検定「レストランサービス技能士」を取得することで、接客サービスのスキルが評価される。また、飲食チェーンの店長として採用される際には、「防火管理者」や「食品衛生責任者」などの資格が必要となる場合もある。 食べ物を取り扱う接客サービスのため、常に清潔に保つことが重要だ。料理の運び方や置き方、身のこなし、言葉遣いなど丁寧な対応が求められる。 また、食事の進行状況を見て次の料理を出すタイミングを厨房に伝えるといった接客スキルと気配り、長時間の立ち仕事に耐える体力も大事だ。 国内市場の縮小を見据えた海外展開も増えており、英語などの語学力があれば、より重宝されるだろう。
● ファミレスとファストフード以外も明暗 トレンドの変化に対応できるか ファミレスとファストフード以外にも、業態ごとに明暗が分かれている。 レジャー施設内の飲食店は、コロナ禍で落ち込んでいた需要が回復し、19年比で売り上げが増加している。 さらに、「料理やサービスの質が高い高価格帯の飲食店は、その価値が顧客に認められているため、値上げ後も売り上げを伸ばしている」(松田氏)という。 一方で、駅構内の飲食店は売り上げが伸び悩んでいる。リモートワークの普及による、電車利用者の減少が大きな要因だ。また、低価格路線の総合居酒屋は顧客ニーズの変化に対応できず、厳しい状況が続いている。 就職するに当たり、こうした市場トレンドの把握や理解が重要だ。その上で企業ごとの戦略や強み、課題を分析し、他の外食チェーンとの差別化を図るために明確なコンセプトや商品開発に注目するのがいいだろう。 外食業界は、コロナ禍や原材料高騰の影響を受けつつも、新たなトレンドを生み出しながら成長を続けている。この変化に対応できる人材が求められている。
ダイヤモンド・ライフ編集部/大根田康介