松屋、コメダなど絶好調企業のあおりを食らう業態も……“二極化”進む外食の「コロナ後遺症」脱出事情
● すかいらーくグループは 多ブランド展開で回復 セブン&アイ・フードシステムズが展開するデニーズなどのファミレスは、こうした好調な業態の「ファミレス進出」のあおりを受けている。 実際、コロナ禍の影響で店舗数が大幅に減少し、客足の回復が遅れている。ファミレス層の顧客が他業態に取り込まれようとしている。 ファミレスが厳しい理由の一つは、多様なメニューを提供している中で、単独ブランドの店舗だと同業他社との明確な差別化が難しいからだ。 そんな中、ファミレス大手のすかいらーくグループは業績を回復させている。 19年12月期連結決算では売上高3753億円、営業利益205億円だったが、コロナ禍で20年12月期には売上高2884億円、営業利益は230億円の赤字に転落した。だが、23年12月期には売上高3548億円、営業利益116億円まで戻した。 同グループは、ガストやジョナサンなどブランドの多様性を生かし、市場環境に応じて柔軟に業態転換などを行い、市場の変化に対応している。 例えば、中華料理店「バーミヤン」やしゃぶしゃぶ専門店「しゃぶ葉」、喫茶店「むさしの森珈琲」など、地域ごとの需要に応じた柔軟な業態転換を可能にしている。これが不調のファミレス業態にあって、比較的早く持ち直した要因といえる。 ちなみに、日本マクドナルドホールディングスとすかいらーくグループのコロナ禍の新卒採用数は共に100人を割っていたが、24年には150人以上に増やしている。
● 低賃金、重労働で人手不足 効率化や待遇改善を模索中 外食にはさまざまな業態があり、それだけ職種も多い。 例えばレストランで来店客と接するホールスタッフは、料理やサービスを提供する。料理のオーダーを取ったり料理を運んだり、食器類を下げたりすることだけではなく、店舗内における予約の電話受け付けなどさまざまな業務も受け持つことが多い。 店舗では、正社員のほかパート・アルバイトとして働くスタッフが多い。パート・アルバイトスタッフは接客を中心に受け持ち、正社員や店長の仕事をサポートしている。正社員の場合は、新しく入ったアルバイトや社員への指導も仕事だ。 一般的に外食業界の平均賃金(年収)は、職種にもよるが350万円前後で全産業の平均よりも低い。また長時間労働も発生しやすいといった労働環境のため、離職者も多く人手不足が深刻化している。 そのため、各企業はさまざまな対策を講じている。オペレーション改善として、券売機やタブレットの導入で注文方法を簡単にしたり、配膳ロボットを使ったりするなど、効率化を進めている。 また、調理工程を簡単にするために、業務用冷凍食品の活用を増やすなど、メニューの工夫も行われている。 待遇面でも、賃金の引き上げや福利厚生の充実に取り組む企業が増加している。さらに海外展開のために、外国人留学生や海外で働く日本人を積極的に採用する動きも広がっている。