【40代、50代の腰痛を元から治す⑧】腰痛を防ぐ重要なカギは「股関節を正しく使うこと」にあり
OurAge世代に多い「腰痛」の悩み。強い症状がなくても腰に少し違和感があって、そのうち腰痛になりそう…なんて不安を抱えている人も。そんな人が知っておくといいのが「股関節の正しい使い方」。股関節の使い方次第で、腰痛が起きにくくなるとか。その理由や、具体的な方法を、脊椎外科専門医の吉原潔さんに教わり、腰痛を防ごう!
股関節を使わずに腰や背中を丸める前かがみ姿勢が、腰痛を招く
腰痛を防ぐためには、なぜ「股関節」が大切なのかを、吉原先生に伺った。 「腰痛になる大きな原因に、私たちが普段、無意識のうちにとっている前かがみや中腰の姿勢があります。腰や背中を丸めて前かがみになると、腰椎や腰の筋肉に多大な負担がかかり、これが腰にダメージを与えます。長年これを繰り返すと、次第に椎間板が劣化し、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などのリスクを高めて、腰痛が起きやすくなります。特に、以下のような動作のときは、腰や背中を丸めて前かがみ姿勢になりやすいので要注意です」 ・荷物を持ち上げる ・洗顔、歯磨き ・床に落ちているものを拾う ・掃除や庭仕事などをかがんで行う ・下段の引き出しを開ける 「これを防ぐには、腰や背中は丸めた猫背姿勢にならないように、股関節から体を動かすことがポイントです。股関節を支点にして体を折るイメージです。 ただし、股関節から体を折るには、連動する骨盤がスムーズに動かなければならないのですが、腰痛がある人の多くは、太ももの裏のハムストリングスが硬くこわばっているため、骨盤が固まって動きが悪くなっています。そのため股関節から曲げにくくなり、腰や背中を丸めてしまうのです。 ちなみに、アフリカ人にはあまり腰痛がないといわれていますが、これはハムストリングスが柔軟で骨盤がよく動くためです。 日本人は昔から畑仕事をするときにも背中や腰を丸めて行う人がほとんどで、腰痛になる人が多いのですが、アフリカ人が畑仕事をしているところの写真を見ると、股関節から体を曲げています。そのため腰痛にならないのです」 そこで吉原先生がおすすめしてくれたのが、股関節の使い方をマスターするためのエクササイズ。 「お辞儀のような動作をする“グッドモーニング”というエクササイズをこまめに行うことで、硬くなった股関節と、ハムストリングスの柔軟性を高めることができ、普段の生活の中でも股関節から体を曲げられるようになります」