【柔道】東京五輪代表・向翔一郎は2回戦敗退も「ロスで金を獲る」今春の単身渡米が転機に 講道館杯
◇柔道講道館杯最終日(2024年11月3日 高崎アリーナ) 男子7階級が行われ、90キロ級2回戦で21年東京五輪代表の向翔一郎(トーシン工業)が第1シードで23、24年世界ジュニア選手権連覇の川端倖明(国士舘大)に優勢負けを喫し、敗退が決まった。一時は100キロ級に転向も、再び階級を戻して今回が2戦目。試合5日前に右脇腹を痛めた影響も大きく、「もちろん(相手は)強かったが、今日のコンディションなら十分。まだ全然行けます」と心は折れていなかった。 3回戦敗退でメダルを逃した東京五輪後は低迷が続き、パリ五輪代表入りを逃した。その後はモチベーション低下に拍車がかかり、「死に場所を探すために続けていた」と振り返る。転機となったのが今年5~7月の単身渡米。米テキサス州ダラスの道場で3、4歳から60代までの老若男女に柔道を教えるうちに、「ずっと嫌いだった柔道を楽しいと思えた」という。 指導は休憩時間をはさみながらも午前9時から午後10時まで断続的に続くハードなものだったというが、「僕が日本人ということで(生徒が)どん欲に聞いてきてくれる。日本ではないこと。向こうはただ教えてくれではなく、自分はこうしたいという意見を言ってくる」と驚きや発見も多かったという。今回は約2カ月の短期だったが、将来海外で指導者になる選択肢も生まれたといい、そのためにも「自分の価値を高めるために(現役を)続けているのはある」と話した。 この日対戦した川端は18歳、パリ五輪代表で銀メダルを獲得した村尾三四郎は24歳と、若手に勢いがある男子90キロ級。28年ロサンゼルス五輪時は32歳となる向だが、「ロサンゼルスに行って金メダルを獲るので、小さい一歩でもいいので、そこへ向かって一歩ずつ進んでいきたい」と闘志を燃やした。