朝・昼・夕食の量は「4対3対3」の比率が理想的。おやつは16時、夕食は20時までに食べると良い理由とは?
◆血糖値 また遅い時間ほど血糖値も上がりやすくなる。 食事をすると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血中の糖を肝臓や筋肉に貯蔵する。インスリンが効かないと血中にいつまでも糖がある、つまり食後血糖値が高い状態が続いてしまう。 これが老化や病気の大きな原因になるわけだが、「インスリンは朝のほうが分泌されやすく、効きやすい」(農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員大池秀明氏)のだ。 「ですから同じ食事内容を朝、昼、夕に摂ったとしても、夕食後が最も血糖値が上がってしまいます」 また空腹時が長く続くと、血糖値の急上昇や体内時計の乱れにもつながる。例えば正午に昼ごはんを食べて、夜22時まで何も食べないとなると、絶食時間は10時間。体が夜の10時を“朝”と勘違いする可能性もあるだろう。 絶食時間を10~12時間設けて朝食をしっかり食べるのが理想形。そしてできれば夕食より、朝食や昼食の比率が高いことが望ましい。 柴田特任教授の調査によると、日本人は朝食と昼食、夕食量の比率が「2対3対5」の割合の人が多いそうだ。せめて「3対3対4」、理想は「4対3対3」の比率という。 「体が休息状態に入るタイミングの夕食量が増えると、代謝できず太りやすくなります。朝食の量が足りなければ、活動量が高い日中に脳も体もエネルギー切れとなる可能性がある」(柴田特任教授) 朝食量が多ければ朝型に、夕食量が多ければ夜型に傾きやすいことも覚えておこう。 必ずしも夜型が悪いわけではないが、朝型のほうがうつ病や不眠のリスクが低下し、肥満になりにくいという報告がある。
◆良質なタンパク源 また夕食をゼロにするのではなく、消耗した体に栄養素を補給し、疲れた脳や全身の修復に役立たせるために、少なくともタンパク質摂取は意識したい。 良質なタンパク源である納豆やヨーグルトは特にお勧めだ。 納豆には血液をサラサラにするナットウキナーゼという酵素が含まれるので、夕食に摂ることで翌朝の血栓予防になる。 「明け方は体内の水分が少なくなるので血栓ができやすく、実際に心筋梗塞や脳卒中の発症率が高いのですが、ナットウキナーゼの効果は8時間以上持続することが複数の研究からわかっています」(望月氏) ヨーグルトも良質なタンパク源。空腹時はヨーグルトに含まれるカルシウムの吸収率が高くなるため、夕食を終えて1~2時間してから食べるといい。 就寝後に成長ホルモンが分泌され、筋肉や骨が作られるがその時の材料に役立つという。 また16時~20時はアルドステロンという塩分を体に蓄えるホルモンの分泌が低下しているため、多少塩分を摂っても体外に排出されやすい。 一方で消化に関わる胃や膵臓、肝臓の働きが低下しているため、油分が少なく低カロリー、けれども塩分高めの和食が向いている。 ※本稿は、『老けない最強食』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。
笹井恵里子