「え? 私が悪いの?」自分は悪気はなかったけど、相手を怒らせてしまった…「とりあえず謝る」ではなぜダメなのか
クッション言葉としての「すみません」
では、どのような対応をするのがベストなのでしょうか。 まずは、相手の気持ちをなだめる意味での「クッション言葉」として、「申し訳ございません」「すみませんでした」などと口にするのはありです。ただし、その謝罪は、「相手が気分を害した」「誤解を招いた」ことへの謝罪ということが明確にわかるように伝えます。
そのうえで、相手が怒っている本質的な問題については、謝罪すべき内容なのか冷静に考えて対応しましょう。 自分に非があるとは思えないときは、それに対して謝るよりも状況を説明して理解してもらうことが必要です。心にもない謝罪を口にしてやり過ごすよりも、問題を根本的に解決することにつながります。
日常的な小さな「ごめんなさい」も大切に
「何でもかんでも謝ればいいわけではない」とお伝えしましたが、その一方で、スムーズな人間関係には、「ごめんなさい」と「ありがとう」は欠かせません。ちょっとしたことで、小さな「ごめんなさい」が言えることはとても大切です。 仕事が予定より少しだけ遅れそうなとき、仕事を手伝ってもらうとき、誰かに何かをお願いするとき……。「すみません」と一言あるだけで、ものごとが気持ちよく進んでいくものです。 ビジネスは人と人の協力関係、信頼関係が土台。そういう小さな「ごめんなさい」は、日頃から大切にしたいですね。 同じことを伝えるのでも、言葉の選び方で気持ちが伝わりやすくなり、ビジネスにもプラスの影響があることをお伝えしてきました。 特に、私たち日本人はコミュニケーションにおいて「察する」ことを重視しますが、それでは気持ちも含めて正確なことを伝えることができません。 大切なのは、きちんと言葉にして伝えること。そんな伝え方を大切にすると、お互いの関係性がよくなり、ビジネスにもたくさんのメリットをもたらしてくれます。 文:大野萌子 構成:久遠秋生 デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio) タイトルバナー写真:Andrii Iemelyanenko/getteyimages