「子どもの工作、親はどれくらい手伝うべき?」東大准教授が導き出した、子どもの才能を引き出す最適解は…
“技”は少しだけ教えればいい
道具に限らず、工作の種類によっては、つくりあげたいものにマチがあったりとか、ちょっと光らせるためにアルミホイルをぐちゃぐちゃにしてから広げてみたり、など、色々なテクニックが既に存在します。 いつも創意工夫が大事だとは思いながらも、ある程度はやり方を教えてあげないと難しいのだな、と思います。ハサミなど道具の使い方、セロハンテープをクルッと丸めてみて両面つかえるようにしてみたり、リボンを最後にちょっとだけ使うと綺麗に見えたり……。少し技を教えてあげるだけで、子どもの工作スキルが飛躍的に成長するところを見てきました。道具の使い方も同様です。最初はたどたどしい使い方だったハサミも、やればやるほど上手になってきたように思います。
何も教えないと、「いきなり原始人が稲作をすることはできない」みたいなことになってしまうんだな、と最近は感じます。かといって、すべて大人が準備して渡すだけだと、工夫をせずにただ作業させることになってしまうので、そこも避けたいところです。 両方をほどほどに、これがなかなか難しいです。 今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。
【Profile】山口利恵
7歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。