ロシア、ウクライナ第2の都市陥落狙う-市民強制立ち退きへ偽情報も
(ブルームバーグ): ウクライナ第2の都市ハルキウへの攻撃をロシアが激化させているのは、市民を強制的に立ち退かせることが目的だ。ウクライナと西側の当局者がこうした見解を示した。
ロシア国境から車で1時間もかからない地点にあるウクライナ北東部のハルキウには、過去1カ月にわたりミサイルやドローン、大型誘導弾による激しい攻撃が続いている。この攻撃で発電インフラは破壊され、多数の住宅が廃墟と化した。
戦前の人口が約150万人に上っていたハルキウは、2022年にロシアが全面侵攻を開始して以来、絶え間ない攻撃にさらされてきた。だが、ロシアの最近の行為は、同市への供給を遮断して人が住めない状況をつくり出そうとする組織的な取り組みに見受けられると、匿名を要請した関係者は語った。
ウクライナの弾薬不足や防空システムの脆弱(ぜいじゃく)性、兵士数の劣勢につけ込むロシアは、ハルキウ包囲を主要作戦目標の一つとしている。ロシアはまた、ウクライナ各地のエネルギーシステムに対する執拗(しつよう)な攻撃を強化するとともに全ての戦線で一定の前進をみせており、ウクライナ軍の限界が近づいている恐れがあると西側当局者は懸念する。
ロシアは侵攻開始後の数週間にハルキウを制圧しようとしたが、果たせなかった。市民の多くはロシア語を話すものの、ウクライナ人とロシア人は単一民族だとして侵攻を正当化するプーチン大統領への反発は強い。そのような市民にとって、ロシア軍撃退は勝利だった。
だが、侵攻開始から2年余りがたち、ハルキウでの生活は危険の度合いを増している。攻撃は和らぐことがなく、被害は極めて広範囲に及ぶ。実際、多くの市民がとどまるなら次の冬までに居住できる環境を整えることは難しいだろう。
主要目標
今月初め、ロシア軍がハルキウを包囲し市民の避難が始まったとのメッセージが出回った。ウクライナ内務省は「敵意ある偽情報」だと指摘し、「戦場で意図した成果を上げられないロシア軍が、ウクライナ社会にパニックと混乱の種をまこうとしている」と警告した。