西鉄貝塚線「都会のレトロ電車」600形の半世紀 5月23日で開業100年の福岡郊外路線を走る黄色い2両編成
600形は大牟田線の主力車両として活躍を続けた後、1990~1991年度にまず11両が宮地岳線(現・貝塚線)に転籍。その後も旧型車両を置き換えるために転籍が進み、2015年1月に最後まで残った旧型車の引退によって貝塚線の車両は600形に統一された。天神大牟田線からはすでに引退しており、現在600形が走るのは貝塚線だけだ。 貝塚線には2両編成8本・16両が所属。正面のライトの配置などデザインは登場時から変化しているが、全体に丸みのあるボディは昭和の電車らしい雰囲気だ。メンテナンスによって車両は美しく維持されており、「レトロ」感はあっても古びた感じはない。
■台車を交換、運転に違いは? 貝塚線を走る600形は、天神大牟田線で活躍していた時代とはさまざまな違いがある。一目でわかるのは「色」だ。 天神大牟田線の通勤電車は、銀色のステンレス車両を除けばアイスグリーン(水色)にボンレッド(赤)のラインが入った塗装でおなじみだ。600形も貝塚線に移る前はこの色で、転籍の際に現在のオキサイドイエロー(黄色)にボンレッドのカラーリングに塗り替えた。これはかつての大牟田線特急車両「2000形」と同じ色で、宮地岳線・貝塚線の車両で長年親しまれている塗装だ。
最大の変化といえるのは「台車」だ。天神大牟田線と貝塚線は線路がつながっていないだけでなく、歴史的な経緯で線路の幅も異なる。天神大牟田線は新幹線などと同じ1435mm幅の標準軌、貝塚線はJR在来線などと同じ1067mmの狭軌。そのままでは走れないため、狭軌の西武鉄道で使っていた台車「FS342」に取り替えている。 電車の「足」である台車が別物になれば、走りや運転操作にも違いが出そうだ。天神大牟田線と貝塚線の両方で運転経験がある高本さんは、「600形は大牟田線ではブレーキの扱いが難しい電車の1つだったが、こちら(貝塚線)に来てから非常に運転しやすい電車になった」と語る。