米、反動減から復調 家庭向け販売 卸は調達苦戦、不足感も
米の家庭向け販売が回復してきた。農水省がまとめたスーパーの販売数量によると、今夏の買いだめの反動で9、10月は前年より2割前後減っていた。11月に入ると家庭内在庫の解消が進み、直近11月25日~12月1日は同5・9%減まで減り幅を縮めた。米卸などは調達苦戦から、不足感を指摘する。 同省が、KSP―SP社による全国約1000店舗のスーパーの販売時点情報管理(POS)をまとめた。 スーパーの販売数量は、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発令や大型台風の接近があった8月は、消費者の買い急ぎで販売数量が同2~5割増となった。ただ、買いだめの反動でペースが鈍化し、9、10月は同2割前後落ち込んだ。 11月以降、「買いだめした家庭内在庫がなくなり、新米を求める客が増えた」(関東のスーパー)。同省がまとめたスーパーの販売数量は、11月11~17日が同11・2%減、18~24日が同6・1%減、25日~12月1日が5・9%減となり、減り幅が縮小。大手米卸は、「値上げの影響が懸念されたが、売れ行きは悪くない」と話す。 業務用も、堅調な販売が続いている。同省によると、米卸から中食・外食業者向けの販売数量は、9月が3・5%減、10月が0・4%減で、ほぼ前年並み。別の米卸は、「インバウンド(訪日外国人)を含む需要が旺盛なまま」とみる。 販売ペースが勢いを取り戻す一方、米卸など流通業者からは「2024年産米を十分に調達できていない」との声が続出している。 (鈴木雄太)
日本農業新聞