13日のソフトバンク戦の九回、空振り三振に倒れるオリックス・内藤鵬＝京セラドーム大阪

【球界ここだけの話】迷いなきフルスイングが、気合を物語っていた。高卒2年目のオリックス・内藤鵬内野手（19）が13日のソフトバンク戦（京セラ）の九回に代打でプロ初出場。3球すべて全力で打ちにいったが、記念すべき初打席の結果は空振り三振。白球を前に飛ばせなかったことを悔やんだ。 【写真】飛躍を目指すオリックス・内藤鵬 「打ちたい気持ちが強かった。三振やったので、悔しい気持ちが一番大きい」 2022年に日本航空石川高からドラフト2位で入団。1軍の舞台に立つまでは2度の大けがに苦しんだ。1年目の昨季は5月に左膝半月板損傷で離脱。実戦に復帰できるようになって間もなかった今年2月の春季キャンプでは練習試合の守備で負傷し、左肩関節脱臼と診断されて再び長期離脱を強いられた。 3月に手術したばかりの頃はあまりの痛さに病室のベッドで横になることすらままならず、「座って寝ていた」というほどつらかった入院生活を経て、リハビリを開始。7月2日のウエスタン・リーグ、くふうハヤテ戦（ちゅ～る）で代打で実戦復帰したが、しばらくはなかなか結果を出せず、成績は下降線をたどった。 打率は1割台と苦しみ、「自分の結果ばっかり考えていて、なかなか結果が出なかった」。けがで出遅れた焦りからか、結果にとらわれ過ぎてしまっていた。そんなときに原点回帰したことで成績も打球も上向くようになったという。 「チームが勝つためのことを考えたら自然と結果が出るようになってきた。やっぱり野球はチームプレーやなと思った」 チームのために何ができるかを考え、バットを振る―。主将を務めた高校時代がまさにそうだった。「高校の時もチームのことを優先でやって、結果を出していた。そういう気持ちでやろうと思ってやったら結果が出た」。打席に立てるのは一人だけだが、野球は「個人プレーではない」。エゴから脱却したことで殻を破ることができた。 「頑張って打ちたい」 シーズンも残りわずかだが結果を残し、爪痕を残して来季につなげる。今はチームのためにフルスイングを貫き、勢いをもたらすことこそが内藤の使命だ。（織原祥平）