「日本人労働者、1人あたりの所得が減少」「米国軍人の死亡率、米国民の死亡率より低い」それ、ホント?…統計の読み方の注意点【経済評論家が解説】
読み取るべきメッセージはなにかを考える
インフレ率が9.9%から10%に上がったとき、「インフレ率は概ね10%で推移している」というほうが「インフレ率が2桁になった」と大騒ぎするよりも、実際の経済を上手に描写しているわけですが、後者の表現をする人も多いですね。聞き手の関心を掴むほうが話しを聞いてもらえますからね。 統計を扱う人のなかには、「海の水を一口飲んだから、海の水が減った」といい張るような人もいます。筆者としては「ほとんど減っていない」というように心がけているわけです。そのほうが、読み取るメッセージとして適切だと考えるからです。 余談ですが、同じ数字でも話し方ひとつで相手の受け取り方が大きく変わるので、要注意です。「私の手術の成功率は90%を誇っています。今朝の手術も、見事に成功しました」という医師と、「私の手術は10回に1回は失敗するのです。今朝の手術も失敗してしまいました」という医師がいるとして、どちらの医師に手術を頼みたいですか? どちらでも同じなのですが。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義