【管理職の悩み】課長になったものの、「2万円」の手当が出るだけで残業代が支給されない…。これは普通ですか?
課長に月2万円の管理職手当を付与して、残業代不支給とすることは、許されるのか
月2万円の管理職手当を付与して「課長」とし、管理職として扱ったとしても、残業代が支給されなくなる場合は、基本的に違法である可能性が高いでしょう。もちろん実際には、残業時間がどれくらいかなど、個別の事情によるところもあります。 しかし、一般的な企業において、課長という役職で経営へ参画できることはまれです。課長という役職で、出退勤について自己裁量に任されているケースも考えづらいです。そして何より、月2万円という手当を受け取っても、その額は一般従業員と比較して高い待遇とはいえないでしょう。 そういった点を考えると、今回のケースのような状態は課長とはいえ「管理監督者」とはいえず、名ばかり管理職ということになります 。したがって、月2万円の役職手当の存在を理由に、残業代が不支給となることは許されないでしょう。 東京労働局労働基準部「しっかりマスター労働基準法-管理監督者編-」では、実際に起こった「管理監督者をめぐる民事裁判例」が記されています。 ほかにも、労働基準法上の「管理監督者」に該当しないにも関わらず、労働基準法で定める時間外割増賃金や深夜割増賃金の支払いを行っていなかったことについて、労働基準法第三十七条違反として罰金刑に処せられた刑事裁判例もあるようです。
まとめ
管理職となり管理職手当が支給されていれば、残業代が不支給でも仕方ないと思う方もいるかもしれません。しかし、月2万円程度の管理職手当を支給しただけでは、それが許されない可能性が高いです。 とはいえ、実際に判断するには、勤務実態や経営への参画状況などを総合的に考慮する必要があります。もし、自分の置かれた状況に悩んだときは、社労士など労務の専門家や、勤務地を管轄する労働基準監督署などに相談してみるといいかもしれません。 出典 東京労働局労働基準部 しっかりマスター労働基準法 管理監督者編 執筆者:柘植輝 行政書士
ファイナンシャルフィールド編集部