打倒[新型フリード]だ!! 三菱のミニバン[エクスパンダークロス]が販売好調を予感させるワケ
三菱の3列シートMPVであるエクスパンダーは、東南アジア圏のぬかるんだ未舗装路や都市部のハイペースな道路事情の中で強力な存在感を発揮する。そんな悪路の味方エクスパンダーにハイブリッドが追加。タイの地で諸星陽一氏が試乗した!! 【画像ギャラリー】EV走行も可能!!HEVが追加された三菱のアジア戦略車エクスパンダー&エクスパンダークロス(14枚) ※本稿は2024年4月のものです 文:諸星陽一/写真:三菱自動車工業 初出:『ベストカー』2024年5月26日号
■エクスパンダーにハイブリッド登場!
三菱自動車がタイに所有するテストコースにて、同社のアジア戦略車エクスパンダー(&クロス)を試乗した。エクスパンダーは2017年よりインドネシアで生産されているコンパクトミニバン。約4.6mの全長に3列のシートを有する。 当初は1.5Lのピュアエンジンのみの設定であったが、2024年2月に1.6Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドモデルが追加された。なお樹脂製オーバーフェンダーを装着、フェイス違いでSUV感をアップしたエクスパンダークロスというモデルも用意される。 テストコースでの試乗ということで限られたフィーリングチェックとなったが、ハイブリッドモデルの優位性が大きく感じられた。 当たり前の話だが何よりもいいのが加速性能。ピュアエンジンは105ps/14.4kgmのスペックだが、HEVは95ps/13.7kgmのエンジンに、アウトランダーPHEVのフロント用を流用した116ps/26.0kgmのモーターが組み合わされる。 足し算すればおよそ2倍のパワーユニットなので、その力強さは言うまでもない。 特に中間加速の力強さが印象的で、80km/hからでもアクセルをグッと踏み込むと、グイグイ加速していくのが気持いい。 タイは地方にいくと一般道でもかなり速いペースで走っていて、そのなかでスムーズな追い越しをするには高い動力性能が求められる。エクスパンダー(&クロス)HEVはその要求に応えられる仕上がりだ。
■力強い加速とスッキリとしたハンドリングが魅力
ハンドリングについても充分な性能だ。HEVは駆動用バッテリーを積むため車重は増えるが、重心高は10mm低くなっている。 また、重量物がホイールベース内に入るため、相対的にオーバーハング部の重量は減っている。運動性能的にこれは大きなプラス要因で、スラローム走行でステアリングを切り返した時のロールの発生と終息がキリッとしていて気持いい。 波状路や荒れた路面を走った際のザラッとした振動もHEVのほうがよく抑えられている印象だ。 エクスパンダー(&クロス)はEV走行も可能だ。試乗時の充電量の関係で、あまり長距離のEV走行はしていないが、モーターだけでもしっかりとした加速感を味わえる。EVに興味のあるユーザーも多く、それをHEVで体験できるのはいいことだ。 今、大きく変わりつつあるアジアの市場。エクスパンダー(&クロス)へのHEV追加は、そうした現状に上手に対応し、販売も好調を維持しそうな予感にあふれていた。