アニメ制作市場が3000億円突破、岸田総理率いる知財戦略本部が描くアニメ戦略とは
帝国データバンクによれば、2023年のアニメ制作業界の市場規模は初の3000億円を突破した。 ◆【写真】アニメ制作会社の業績が一目でわかる! グラフを確認する 本記事では同社発表の「『アニメ制作市場』動向調査2024」をもとにアニメ業界の現在地と政府が描くアニメ市場の戦略を概観する。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本のアニメ制作市場が対前年比で22.9%増の躍進
2023年のアニメ制作業界の市場規模は3390億2000万円と前年を22.9%上回り、金額にして600億円以上の増加となった。 2010年~では1578億円から約15年で市場規模が2倍となった計算だ。 なかでもネットフリックスやアマゾンプライムなどの動画配信サービスがアニメ市場に及ぼす影響は大きく、アニメ配信市場は2022年に1652億円を記録。過去10年で10倍となった計算だ(出所:日本動画協会「アニメ産業レポート2023」)。 2022年のテレビアニメタイトル数は317本、ピークとなる2016年の361本を超す水準ではないものの、9年連続で300本を超す水準となっている(出所:日本動画協会「アニメ産業レポート2023」)。 2023年のアニメ制作会社1社あたりの平均売上は11億2300万円に着地し、37.2%が前年から増収となったほか、44.9%が増益となった。 ただし、元請・グロス請の平均売上高が対前年比で約37%増となったのに対し、専門スタジオは約6%の微増に留まる形となった。
岸田総理率いる知財戦略本部が描くアニメ戦略
内閣知的財産戦略本部(本部長:岸田総理)の資料「新たなクールジャパン戦略(2024年6月4日)」によればアニメの海外展開は2022年で約1.5兆円と好調であるものの、慢性的な人材不足を課題として挙げている。 また、海外プラットフォーマーとの優越的な交渉を強いられるケースがあることもアニメ分野の課題として挙げられており、ビジネスサイドの強化が今後のアニメ業界の成否にも関わってきそうだ。 政府は「日本発のコンテンツの海外市場規模を、2033年までに20兆円とすることを目標値として設定する」とし、その中間目標として2028年までの10兆円規模を目指している。 また、対応方針・今後の取組として下記を掲げている。 1.基幹産業として、海外展開に関するデータを充実させ、PDCAサイクルを高速に回す 2.海外へのビジネス展開力を高める 3.デジタル・ビジネスに対応した構造改革を進める 4.コンテンツ産業を支える人材を強化する 5.官民一体となって海賊版対策を強化する 6.官民の連携体制を強化する なおアニメのほかは、ゲームの海外展開が2.8兆円、マンガは3200億円、実写(映画/ドラマ/ファクチュアル)は1300億円となっており、今後のアニメ業界の海外での成否が目標達成のカギとなることは間違いなさそうだ。