【凱旋門賞】武豊「昔は夢で、今は目標」 独愛G1馬アルリファーで11度目挑戦「この年になってこんなにわくわくできる」【一問一答】
「凱旋門賞・仏G1」(6日、パリロンシャン) 94年ホワイトマズルで初めて参戦してから30年。日本競馬界の至宝である武豊騎手(55)=栗東=は、「“夢”ではなく“目標”」と語る大一番に、愛国馬アルリファーとのコンビで臨む。勝てば日本人ジョッキーとして初の偉業達成。自身11度目の挑戦で今度こそ重い扉をこじ開けられるのか-。決戦を前に、その胸中を直撃した。 ◇ ◇ -凱旋門賞でタッグを組むのはアルリファー。ここまでのレースぶりを見て、どういう印象か。 「ここ2走の内容がすごくいいですよね。前々走(エクリプスS)はシティオブトロイに迫って、前回(ベルリン大賞)は圧勝。特に、ベルリン大賞は凱旋門賞にリンクしますからね」 -1週前にはアイルランドに渡って追い切りにまたがった。 「強い追い切りではなく、軽いところでしたがおとなしくて乗りやすそうな馬でした。調教では特に気になるところはなかったです。体調も良さそうですし、いい感じでした」 -松島オーナーからはいつこの計画を聞いたか。 「今年のセレクトセールの直前にエクリプスSがあったのかな。そこで“そういう話が出ている”と。それが実現すれば、すごい話だなと思いました。ドウデュースが国内に専念すると決まって、今年は(凱旋門賞に)乗るのが厳しいかなと思っていましたが、そんなすごいオファーを頂いて…ありがたいですね。気持ちをすごく感じます。それに応えたいです」 -武豊騎手が最初に凱旋門賞へ挑戦したのは1994年(ホワイトマズル=6着)だった。 「最初に乗ってから30年。あの時のことは鮮明に覚えていますね。現地の報道陣にすごく囲まれて、調教師と打ち合わせできなかったことを覚えています(苦笑)。凱旋門賞への思いは変わりませんが、30年の経験がある。戸惑うことはないと思います。昔は日本の関係者で(凱旋門賞を)知らない人も多かったんじゃないかな」 -この秋は凱旋門賞以外にも海外遠征が待っている。 「ブリーダーズC(BCディスタフ=オーサムリザルト)にも行く予定です。左回りがいいので、あの馬もチャンスがあると思う。世界的なビッグレースに乗れることは、ジョッキーとして最高のモチベーションです。この秋は本当に楽しみ。ケガと騎乗停止には気をつけたいです。去年は肉体的にも精神的にも痛かったですからね」 -55歳にしてこの充実ぶり。 「この年になってこんなにわくわくできることなんて、なかなかないです」 -騎手・武豊にとって凱旋門賞とは。 「昔は『夢』という感覚でしたが、今は『目標』という方がしっくりきます。夢と言うと、なんだか遠い感じがしますからね。初めての凱旋門賞の時はよく分かっていなかった。ヨーロッパの経験も少なかったですし。でも、その時と今では全然違います。ヨーロッパでも10回乗ったジョッキーって少ないんじゃないかな」 -アイルランドではディープインパクトのラストクロップ・オーギュストロダンとも対面を果たした。 「馬房の中まで呼んでくださいました。ディープと似ていましたね。スラッとしたかっこいい馬でしたね。調教を車で併走して見ましたが、凱旋門賞に使えるくらいバリバリ乗っていましたね。すごくいい動きをしていました。(エイダン・オブライン調教師に)晴れるなら凱旋門賞に使うかもしれないと聞きましたが、今のところは雨っぽいですね」 -アルリファーを管理するのはジョセフ・オブライエン調教師。彼との親交は。 「(騎手時代に)一緒に乗ったことがあるけど、まさかあの子の馬に乗るとはね。(子どもの頃に)エイダンが競馬場に連れてきていた。いいジョッキーだったけど、背が高く体重がね。でも、調教師になって既に結果を出しているのはすごいです」 -改めて、大一番に向けて意気込みを。 「こんなに勝ちたいレース、他にはなかなかないですよね。松島オーナーもそう。一緒に夢をかなえたいです。松島さんはクールモアと近いからすごいです。アルリファーも代理人を挟まず、直談判で買ったらしいですから。そうやって応援してくれる存在がいるのはありがたいですし、それに応えたい気持ちは本当に大きいです。チャンスはあると思いますし、機は熟し過ぎています」