G-DRAGON「復活の一年」を総括 K-POP史を塗り替えた歩み、カムバックとこの先の未来
2024年10月31日、ついにG-DRAGONの新曲「POWER」がリリースされた。ソロ作品としては2017年の2枚目のミニアルバム『KWON JI YONG』以来7年ぶりで、現在準備中の3枚目のアルバムの先行公開曲とされている。 【画像を見る】2024年、アメリカでもっとも影響力のあるインフルエンサー25選
G-DRAGONのキャリアを振り返る
言わずと知れたBIGBANGのリーダーであるG-DRAGONの芸能界デビューは5歳の頃だ。韓国のキッズ向けプログラム「キスポポ」に出演したり、90年代に絶大な人気を誇ったグループRoo’Raと一緒に「ちびっこRoo’Ra」として活動していた。ちびっこRoo’Ra解散後に偶然出たダンス大会で1位になったことでSMエンタテインメントの創始者イ・スマンの目に留まり、8歳から約5年間SMエンタテインメントで練習生としてトレーニングを受けたという。やがてウータン・クランを聴いたことをきっかけに、YGエンターテインメント所属のアーティストJinuseanのヒップホップアカデミーでラップを本格的に学び始めた。後にBIGBANGとしてデビューすることになるYGエンターテインメントへの移籍のきっかけになったのは、「2001大韓民国Hip Hop Flex」というコンピレーションに参加した事だという。「13歳のラッパー」という事で大きな注目を受け、アルバムのタイトル曲「Realize Yourself」の参加だけでなく、「G-DRAGON」というタイトルのソロ曲が収録された。企画の主催だったX–Teenのイ・ヒソンがG-DRAGONにYGエンターテインメントの練習生オーディションを提案し、2002年にSMエンターテインメントから出た後、YGエンターテイメントで6年間の練習生生活をおくることとなり、作曲を学び始めた。 当初は同じく練習生だったTAEYANGと2人のヒップホップユニットでデビューする予定だったものの、時世の変化によって5人組ボーイズグループBIGBANGとして2006年にデビュー。G-DRAGONが単独で作詞作曲した「LIES」が大ヒットし、2007年のMAMAでSong Of The Yearを受賞した。韓国ではカラオケでBIGBANGやG-DRAGONの曲を歌えば「ファンダム」とは関係がなく世代を超えて老若男女が盛り上がれるという意味で、21世紀の韓国大衆文化に最も大きな影響を与えてきたアーティストの1人と言えるだろう。 2009年にソロとしてリリースした最初のアルバム『Heartbreaker』のタイトル曲は韓国の主要音源チャート1位になり、音盤売上を表すハントチャートの2009年度の年間1位を獲得。2012年にリリースしたEP『One Of A Kind』には紫雨林のキム・ユナ、NELLのキム・ジョンワン、ラッパーのTabloとDOK2といった韓国の実力派人気アーティストが参加。当時まだ練習生だったBLACKPINKのJENNIEがMVに出演。ROSÉはボーカルとして参加しており、韓国大衆音楽賞の最優秀ラップ&ヒップホップ(歌)部門を受賞するなど、音楽評論家からも高い評価を得た。また、今作はアメリカBillboardチャートのアルバムチャートであるBillboard200に161位でチャートイン、以降3作連続で同チャートにチャートインすることになる。「アイドルグループメンバーのソロ」という大衆的な枠を超えてG-DRAGONがソロ/ヒップホップアーティストとしての評価を受けるようになったのは、このEP以降と言えるだろう。 2013年にリリースした「CROOKED」で知られる2枚目のソロアルバム『COUP D’ETAT』にはディプロやミッシー・エリオット、スカイ・フェレイラと言った欧米圏の有名アーティストが参加。現BLACKPINKのJENNIEは今作にもボーカルフィーチャリングで参加していた。このアルバムは2013年のMAMAでArtist Of The Yearを含む4冠を達成という、グループ出身のソロアーティストとしては現状でも唯一の記録を打ち立てた。 自らの本名である『KWON JI YONG』をアルバム名にし、2017年にリリースした2枚目のEPに収録された「Untitled, 2014」は大衆が考えるG-DRAGONの華麗な人生ではなく、その裏に隠された人間クォン・ジヨンの寂しさを表現した曲。それまでのアッパーな印象を覆すようなエモーショナルバラードソングだったにも関わらず、韓国の総合音楽チャートCIRCLEチャート(当時はガオンチャート)で6月の月間総合チャート1位を獲得した。また、今作は韓国で初めてUSBというCD以外の形態のアルバムとしてもリリースされ、韓国のチャートの集計基準を変える事態となった。