GMとは何か?そのために現役時代から意識する重要なこと。バスケットボール青野和人さんのセカンドキャリア<後編>
昨夏のFIBAバスケットボールワールドカップ 2023、映画『スラムダンク』の大ヒットなど、大いに盛り上がるバスケットボール界。Bリーグでも越谷アルファーズが、埼玉県初となるB1チームへ昇格するなど、地域を巻き込みその勢いは増すばかりだ。この越谷アルファーズのゼネラルマネージャー(GM)青野和人さんも元々バスケットボール選手として活躍した後に、現在のキャリアを歩んでいる。本記事前半では、青野さんがどのようなアスリート人生を送ったのかを語ってもらったが、後半では、現役からコーチを経てたどり着いたGMというポジションについて、そして今の仕事を支える心構えとして、現役時代から意識すべきことについてお話を聞いた。 取材=村上成 撮影=須田康暉
憧れだけど意外に知らない?GMって何をする人なのか?
――世間一般でGMって何する人なの?ということは意外に知られてないかと思いますので、今のお仕事の内容をちょっとお聞きしたいなと思います。競技やクラブによって職域や責任範囲は違うと思いますが、今、青野さんが就任されている越谷アルファーズのGMとはどういうお仕事なんでしょうか? 青野 シンプルに言うと2つメインの仕事があります。それは情報収集と交渉です。その前に、まず、GMとしての私の仕事のスタンスなんですが、ヘッドコーチがチームを運営していく中で、私から見て、たとえ「こうした方が良いのにな」、「この先進んじゃうと、崖なのになって」と分かっていても、一緒に落ちてあげるようなスタンスでいます。コーチの望む選手を獲得しないと、それもチーム戦績の言い訳になっちゃうかもしれないですし、コーチのことを信頼してないって思われるのも良くありません。 ――クラブ全体の、特に競技面でのプロデューサーという感じなのでしょうか? 青野 アメリカのGMは、クラブの実質トップにいて、ヘッドコーチよりも偉いポジションで、全てをこの人が全て決める!もちろん報酬も1番もらう!みたいなポジションです。しかし日本では、立ち位置としても、社長やヘッドコーチ、スタッフがたくさんいる中で、どちらかというとコーチやスタッフを下支えするポジションと言えばわかりやすいかもしれません。 ――それはチームの方針、方向性、どのようなチームを作りたい、バスケットボールの志向性などのビジョンはヘッドコーチが示し、それを成し遂げるための材料や、素材となるべき人材をGMが中心となって集めるという理解であっていますか? 青野 近いと思います。やはりGMとしてもヘッドコーチに惚れ込んだ方が仕事もお互いにやりやすいですし、安斎コーチとは一緒に選手もやっていたので、彼のキャリアが成功することは私の喜びでもあります。GM・青野の人生がより豊かになるためにというよりは、周りに頑張ってもらってクラブの成績が上がり、コーチの評価が上がることで、後に感謝されるようならば嬉しいかな・・・。という順番になっていますね。権限を持ったマネージャー的な振る舞いのイメージがありますね。