トロロッソ・ホンダらF1チームを悩ます2018年新レギュレーションの正体とは
2018年はパワーユニット(PU)を供給するマニュファラクチャーにとっても頭が痛いシーズンとなりそうだ。それは昨年は4基以下となっていた年間使用基数がさらに厳しく制限されるからだ。主要6コンポーネントのうち、ICE(内燃エンジン)、TC(ターボチャージャー)、MGU-H(熱エネルギー回生システム)の3コンポーネントは、年間3基。ES(エナジーストア/バッテリー)、CE(コントロールエレクトロニクス)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)はそれ ぞれ年間2基までに使用が制限される。 昨年10基以上のターボとMGU-Hを使用したホンダや、ホンダに次いで多くのPUを使用したルノー勢にとって、今年のレギュレーションが非常にチャレンジングなものであることは間違いない。 2018年のF1は、供給されるタイヤもチャレンジングだ。レギュレーションによってマシンが大きく変わり、スピードが上がることが予想された昨年。一社独占でタイヤを供給するピレリは安全性を考慮してやや保守的なタイヤを開発した。そのため、ほとんどのレースが1ストップで走りきることができ、レース展開が単調なものとなった。 そこでピレリはこれまでで最も軟らかかったウルトラソフトよりも軟らかいハイパーソフトをラインナップに追加した。さらに「それ以外の すべてのタイヤのコンパウンド(ゴム)も昨年よりも軟らかいものに変更した」(マリオ・イゾラ/ピレリ社ヘッド・オブ・カーレーシング)。これにより、ラップタイムは速くなるが、タイヤの寿命が短くなり、レースでのピットストップ回数が増えることが予想される。 こうなると、レースは単純に速いマシンが勝つとは限らなくなり、レースでどのタイヤをどれだけ長く使用するのかというピットストップ戦略が、レース成績を大きく左右し、最後まで目が離せなくなる。 F1の「F」とは、フォーミュラ(規格)のイニシャル。その規格を決めているのがレギュレーションであり、それには毎年、さまざまな変更が加えられている。F1の戦いは、言い換えれば、その変更されるレギュレーションにどのように 対応するかという適応力の勝負でもある。果たして、今年の新しいレギュレーションを制するのは、どのチームなのか。2018年型マシンを使用した合同テストが始まった。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)