発達障害の人の「就職」に欠かせない実習では、何を見るべきか。特性に合った仕事を見極める
特性に合った適職を、具体的に探す
活動や実習で自己理解を深めながら、業種や職種、企業のことを調べましょう。視野が広がり、自分の適職がみえてきます。 ■業種などの資料をみる 厚生労働省の「職業分類」などの資料を使って、社会にさまざまな仕事があることを具体的に知っておく ■職業ガイダンスを受ける 支援者から、業種や職種についてのガイダンス(説明)を受ける。また、具体的な求人情報をみせてもらう 資料やガイダンス、求人情報などを参考にすることで、社会には多くの仕事があるのだと実感できます。仕事に対する視野が広がり、働きたい企業や働けそうな企業を、具体的にイメージできるようになっていきます。 就労に悩んでいる人は、自信を失っていて「やりたい仕事」や「できる仕事」が思い浮かばないという場合がありますが、多様な業種や職種、企業を知ることで、選択肢が広がり、本人が「自分にもできそうな仕事がある」と感じられるようになります。 ■特性に合う仕事がみえてくる さまざまな職種や業種への見聞を広げていくと、自分の特性に合いそうな仕事がみえてきます。その参考例として、ASD、ADHD、SLD に合う仕事を紹介します。ただし、あくまでも目安です。実際の相性は、相談や実習などを通じて確認してください。 ■成功事例を参考にできる 職種や業種に関する情報として、過去の支援の成功事例を聞ける場合もあります。もちろん個人差はありますが、発達障害のある人が選んだ仕事や働き方を参考にするのも、ひとつの方法です。
「障害者雇用」を選択肢として検討する
発達障害の人は障害者手帳を取得することで、障害者雇用の求人募集に応募できます。障害者雇用は一般企業などに就労でき、障害への理解も得やすい働き方です。 障害者雇用を選択肢のひとつとして、就職活動を進めましょう。 ■障害者雇用とは 事業主が、精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳を取得している人を雇用すること。雇用される側にとっては、通常の雇用と比べて、業務や職場環境の調整の相談がしやすくなる。発達障害の人の就職活動では、主要な選択肢のひとつとなる。 ■特例子会社とは 一般企業が特例的に設立する子会社。障害者雇用促進法で定められている。特例子会社が雇用した障害者の人数は、親会社を含むグループ企業全体の雇用数として算定できる。特例子会社は日本全国に460 以上あり、そのおよそ4 分の1 が東京都内にある。 障害者雇用を選択肢に入れることで、自分に合った仕事や職場をみつけやすくなります。発達障害の人の場合、通常の雇用よりも、障害者雇用のほうが就職成功の見込みは高くなるでしょう。
梅永 雄二(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)