「放課後預かり」短時間でも可能に、待機児童減少へ新事業…こども家庭庁
共働き家庭などの小学生を預かる「放課後児童クラブ(学童保育)」を利用できない待機児童向けに、こども家庭庁は今年度、新たな枠組みの預かり事業を始める。学童より開設要件を緩和し、預かる日数や時間が短くても認める。自治体に人件費を補助して開設を促し、都市部に多い待機児童の減少を図る。 【図解】ニーズはあるのに増えない「学童保育」なぜ?
5月時点の待機児童は1万8462人(速報値)で過去最多。昨年度は東京、埼玉、千葉で全体の4割を占め、兵庫、愛知、大阪、福岡などでも多かった。
新事業の対象は、50人以上の待機児童がいる市区町村で、利用を待機児童に限定。国の基準では、学童の開所日数は「年間250日以上」で、授業がある日の預かり時間は「3時間以上」、ない日は「8時間以上」が原則だが、新事業では短縮を認める。
待機児童の約半数は高学年で、習い事や塾通いで、学童を毎日利用する必要のない子どもは多い。新事業には、そうしたニーズを取り込み、待機児童の減少につなげる狙いがある。
開設場所は、保育園の空き部屋といった既存施設を活用。学童で定められた面積に満たなくても認める。安全管理のため、複数の職員の配置を求めるが、学童で2人以上必要な「放課後児童支援員」かどうかは、必ずしも問わない。
こうした運用により、学童に新たに職員を雇って児童の受け入れ数を増やすより、費用が低額ですむという。今後、少子化で学童利用者の減少が予想されるため、全希望者を学童で預かれるようになるまでの代替措置という位置づけだ。
同庁は、人件費などとして自治体あたり最大400万円を補助する。今年度の補正予算に約1億6000万円を計上しており、40程度の実施自治体を募る。準備が整った自治体は、今年度から預かりを始める。