ロシア軍・志願兵の入隊ペースに陰りか“年収700万円”高額報酬の陰で異変
■「43万人が志願」…プーチン氏は兵士確保“順調”とアピール
プーチン大統領は24年12月、ロシアの志願兵をめぐる状況について、次のように言及した。 「去年は30万人を超える志願兵が契約した。今年はすでに43万人を超え、この流れは止まらない」「人々は自発的にウクライナの前線に向かう。軍人とその家族に対する社会保障は、絶えず強化しなければならない。これは国家の最重要課題だ」 “毎日1000人以上が入隊している”として、兵士の確保は順調だとアピールした形だ。
■志願兵の応募に陰りも…独立系メディア
しかし、プーチン政権がアピールする志願兵の数については、実態を反映していないとの指摘も出ている。ロシアの独立系メディアは24年12月、政府支出を分析した結果として、志願兵の応募は前年と比べて、すでに大幅な減少傾向にあると報じた。 23年には平均して一日900人が契約していたが、24年夏ごろには一日500人から600人にまで減少している可能性があるという。
■死傷者数が志願者数を上回る状況か
ロシア軍は犠牲をいとわない攻撃で、ウクライナで占領地を拡大し続けている。その一方で、BBCによると、イギリス国防相は24年12月、ロシア軍は一日平均1500人以上の死傷者数を出していると言及していて、過去最悪のペースで兵士を失っているとみられている。もはや、増え続ける死傷者数を補い切れない状況になっている可能性もある。ロシアが北朝鮮の派兵受け入れに踏み切ったのも、こうした深刻な兵士不足が背景にあるとみられている。 プーチン政権は、死傷者数について公にしていない。ただ、BBCと独立系メディアの合同の調査によると、24年11月の時点でロシア軍兵士の死者は、少なくとも8万人を超えている。また、アメリカのトランプ次期大統領は24年12月にSNSで、ロシア軍の兵士60万人近くが死傷したと投稿した。 プーチン大統領は国防省との会合で、ウクライナ侵攻をめぐり、24年だけで189の集落を制圧したと言及。「画期的な年になった」と戦果を強調した。一方で、今後、兵士の補充が追いつかない状況が深刻化すると、戦況の悪化にもつながりかねない。強制的な動員には国民の反発も予想され、対応に苦慮することになりそうだ。