「ごっつぁん」再び狙うFX投資家、円安加速で高まる為替介入リスク
高まる円買い介入再開のリスク、米監視リスト入りは妨げにならず
外為どっとコム総合研究所によると、国内の店頭FXと取引所FXの顧客口座数は2023年に1238万口座を超えて過去最高に達した。日本のFX投資家はここ数年で市場での存在感を高めており、日銀の調査によれば日本は世界の個人投資家関連取引の約3割を占める。
政府・日銀は4月26日から5月29日の間に行った円買い介入で、過去最高額の9兆8000億円を費やした。具体的な介入実施日は不明だが、円相場が急反発した経緯から市場は4月29日と5月1日を実施日とみている。
政府・日銀の為替介入、過去最大の9.8兆円-29日までの1カ月間 (3)
介入に備えて早めに円買い・ドル売りの持ち高を構築していたFX投資家や、介入時に素早く円を買い、市場が後退する前に利益を確定した人たちは、大きな利益を得た。
一方で恩恵を受けることができなかったトレーダーもいる。銀座で「投資家バーStock Pickers」のマネジャーを務める今泉早人さん(41)がその1人だ。介入がもっと早くに行われると予想して1ドル=147円前後で円を買っていたため、4月29日の円急騰で投入額の約8-9割を失った。
今泉さんのバーは個人投資家が定期的に集まり、ネットワークを広げる場として人気がある。まさか160円まで行くとは思わなかったし、いずれ戻る思っていたという今泉さんは為替トレーディング歴10年のベテランだが、今はFXをやめて株式投資に転向すべきかどうか迷っていると複雑な胸中を吐露した
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、ドル円が159円台に達したことで、介入への警戒感が高まっており、余談を許さない状況だと指摘する。 大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは通貨当局の介入を判断する際には、その効果とともに、円相場の変動スピードが重要になると述べた。
香港在住の専業トレーダーで高級日本酒バーのオーナーの柏田建一さん(47)は、介入で円が反発し始めた時にドルを売って約500万円の収益を得た。ただ今は取引量を減らしているという。すでに円上昇時にドルを買い戻しているが、介入に伴う円相場の乱高下を目の当たりにしたことで、「以前と比べてチャンスは多いと思うが、損失機会も増えたかもしれない」と恐怖感を口にした。