「ごっつぁん」再び狙うFX投資家、円安加速で高まる為替介入リスク
(ブルームバーグ): 外国為替証拠金取引(FX)投資家が政府・日本銀行の「介入待ち」でドル売り・円買いの持ち高を積み上げ始めた。円安が一段と進行する中、相場の流れに逆らい一獲千金の機会を狙っている。
東京金融取引所の集計データによると、FX投資家は5月中旬以降に先物取引を通じて対ドルの円買いポジション(持ち高)を増やしている。為替介入を先読みして円反発時に利益確保を狙う投資戦略が同投資家の間で広がっている可能性を示唆しており、介入への期待の表れでもある。4月末から5月にかけて政府・日銀が円買い為替介入に踏み切った際にはこの円買い持ち高は大きく減少していた。
21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は対ドルで一時159円80銭台まで値下がりし、通貨当局の介入が意識される160円の心理的節目に接近した。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、円安が進む中でドル売り・円買いを維持するFX投資家は一刻も早い介入を望んでいるだろうと語る。
介入を見越して相場の流れに逆らい収益を狙う「逆張り」の投資戦略は、特にレバレッジ(てこ)を効かせて収益を増やそうとする投資家にとってリスクが高い。4月末から5月にかけての円買い介入で大きな損失を被ったトレーダーもいた。ただ介入のタイミングを見計らってポジションを構築した投資家は何百万円もの大金を得たと証言する。
財務省、ごっつぁんです。シンガポール在住のFX投資家、及川圭哉さん(58)は、為替介入時にドルを売却して約150万円の利益を得た時の感想をこう表現する。
21日の財務省高官の口先介入で、FX投資家の高リターンに対する期待はより高まった。米財務省が20日、為替慣行に関する「監視リスト」に日本を追加したことを受けて円安が進むと、神田真人財務官は為替相場の過度な変動に対し「適切な対応をしっかり取っていく考えに変化はない」と従来の主張を改めて強調した。