偏頭痛、不眠、バセドウ病まで発症…発達障害がある夫との関係に病んだ私を救った意外な「気づき」
累計20万部超のコミックエッセイ「旦那さんはアスペルガー」シリーズを描いた野波ツナさん(漫画家)は、自閉スペクトラム症(ASD)がある夫との関係に悩み、心身を病んだことがある。だが発達障害の解説書を読み、情報を集めるなかで訪れた、ある「気づき」によって回復への活路を見出すことができた。その気づきとは何だったのか。著書『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動が変わる言い方・接し方事典』をもとにした特別記事をお届けする。 【画像】死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由
時がたつにつれ増していく夫への「違和感」
近ごろは「発達障害」という言葉をいたるところで見聞きするようになりました。もはや知らない人はいないと思いますが、言葉が広がるのと同時に、「こうすれば当事者が困っていることを解決できる」「こう言えば周囲の人とうまく折り合える」という情報もたくさん提供されるようになっています。 ですが、提供されたノウハウを使ってもうまくいかない……なんて経験を多くの人がしているのではないかと思います。実は私もそうだったのですが、専門医や有識者が提案するメソッドがうまくいかないのは、なぜでしょうか? この疑問に私なりに答えるその前に、ちょっと自己紹介をさせてください。 私は1994年にアキラさんという男性と結婚しました。ちょっと個性的で面白い人だと思っていたのですが、結婚して、子どもが生まれ、成長し……と家庭環境が変わっていくにつれて、夫の行動や考えが、どんどん私には理解できないものになっていきました。 どういうことかというと、アキラさんは結婚によって、まず一個人から私の「夫」になりました。さらに子どもができたら、今度は夫であると同時に、子どもの「父親」にもなります。そして子どもが成長すると、その成長に合わせて躾や教育をしていかなければなりません。 このように、家庭ができるとその人の果たす役割が増え、変化していくのですが、なぜかアキラさんはその役割にまったく適応できなかったのです。 子どもへの接し方を見ていると、どう考えても父親として振る舞えていない。親なら家計を支えなければいけませんが、相談もなく仕事を辞めてしまう……。そんな、夫婦関係や家族関係を根底から揺るがすようなことを、悪気なく次々としてしまう。たまりかねた私が意見しても、改善されませんでした。 〈どうして父親らしくしてくれないの?〉 〈なんで聞く耳をもってくれないのだろう?〉 〈いくら頼んでも働いてくれないのはなぜ?〉 (どうして?どうして?) そんな感じで、私の頭のなかは「?」でいっぱいだったのですが、その後、専門医と出会って、アキラさんがASD(自閉スペクトラム症)だとわかりました(当時の名称は「アスペルガー症候群」と呼ばれていました)。