オリックス宮内義彦「教育を変えないと日本はダメになる」その打開策とは?【和田秀樹対談⑥】
『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。宮内義彦対談の最終回。 【写真】和田秀樹×宮内義彦、対談の様子
大事な時期に、若者を遊ばせてる国は、世界中どこにもない
和田 既得権益は変化を阻みます。例えば、高齢者の多い日本では「総合診療」の割合を増やすべきなのに、まったく増えず「臓器別診療」が中心です。 宮内 仰る通りですね。 和田 総合診療の割合が増えないのは、臓器別診療の既得権益が侵されるからです。 宮内 やはり日本の大学は、先生方にとってコンフォタブル(快適)ですからね。 和田 そうですね。 宮内 極端な話をすれば、学生を適当に遊ばせておいてもいい。だけど18歳から22歳までの大事な時期に、若者を遊ばせてる国なんて、世界中どこを見てもありません。その間に国際的な差がついてしまいます。 和田 仰る通りですね。 宮内 まずは日本の大学が変わらないと。 和田 国力につながる根底のところですからね。 宮内 だから改革しようと思って動くんですけど、全然あきません(笑)。 和田 今回の自民党の総裁選を見ていても、誰一人として教育のことを言いません。ところがアメリカやイギリスでは「教育で国民をちゃんと賢くさせます」と言う人が大統領や首相になっている。トニー・ブレア元首相は就任時に「あなたの目標は?」と聞かれ「education!education!education!」と答えています。 宮内 医学部でいうとね、亡くなった日野原重明さんが現状を変えようとしてメディカル・スクールの設立を提唱していました。昔からの知り合いだったので、政府の規制改革をやっている私に「手伝え」と言ってくるわけです(笑)。 和田 そうでしたか。 宮内 「18歳の秀才ばかり集めるより、本当に医者になりたい人を教育するメディカル・スクールが必要だ」と日野原さんは言っていた。私も手伝いましたが、抵抗が強くて、歯が立ちませんでした。 和田 医学部だけでなく、大学は文科省のおかしな規制に守られていますからね。だからそれこそ宮内さんの得意な規制緩和で風穴を開けるしかないと思うんですが。