『光る君へ』を彩る<彰子サロン>女房たちの裏事情。倫子の姪<大納言の君>は道長の愛人で「藤式部と呼ぶ」と宣言した<宮の宣旨>はまさかの…
◆兼明親王の歌が表しているもの 兼明親王には「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞあやしき(かなしき、とも)」(後拾遺和歌集1154)という歌があります。 ヤマブキの花には一重と八重があり、園芸植物としては八重が『万葉集』の時代から親しまれていました。しかし八重のヤマブキは花が華やかでも実は一つもならないのだそうです。 そのため、雨に降られた友人に「蓑」を所望された時に山吹の花を出して「みの一つもない」と答えたという歌だとしています。 しかし面白いのは、たくさん美しい花が咲く、というのは、醍醐天皇の多才な子女のことを指していて、みの一つだにない、と言うのはその子孫が恵まれていない、とも取れそうなことです。 その話をしたら、平安朝を愛好する知人が教えてくれました。「七重八重」は「九重(宮中、つまり天皇)に届かないと言うことですね」と 「みのひとつだになき」、というのは、自分の身分は高いけれど子孫を繁栄させられない、源陟子たち上臈女房にも共通した思いかもしれませんね。
榎村寛之
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