フィンランドとスウェーデンをNATO加盟に向かわせた危機――ロシアの「オウンゴール」を検証する
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フィンランドとスウェーデンといえば、北欧の中立国として知られる。より正確にいえば、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しないという意味での「軍事的非同盟」である。いずれにしても重要なのは、第二次世界大戦終結、そしてNATO創設から70年以上にわたってNATO非加盟を貫いてきたことであり、結果として北欧にはNATO非加盟地帯が存在し、それは欧州秩序の特徴の一つでもあった。それがいま変わろうとしている。フィンランドとスウェーデンのNATO加盟が近づいているのである。 近くなされるといわれる両国のNATO加盟申請の背景には何があるのか。当然、 2月24日からのロシアによるウクライナ侵略 が大きく存在するが、それだけではない。ここでは3つの段階に分けて考えたい。第1はこれまでのNATOとの関係強化の蓄積であり、第2は、NATOのさらなる不拡大を求めた 2021年12月のロシアによる条約提案 への反発、そして第3がウクライナ侵略である。 そのうえで、北欧におけるNATO拡大は何をもたらすのか。以下では、NATO加盟に関して主導権をとってきたフィンランドを軸に検討していこう。
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鶴岡路人