能登半島地震「被災地の今」高齢化で孤独死も…被災者支援のあり方は「我が事として防災を」
(町野復興プロジェクト実行委員会 山下祐介委員長)「少しずつ前を向きだした矢先の大きな被害だったので、挨拶のごとく『心が折れそう、折れた』という声を聞く」 (町野復興プロジェクト実行委員会 山下祐介委員長)「何とか雪が降るまでに町の景色を地震の前の状態とは言わないけれど、せめて豪雨が降る前の状態に近づけたい、そのためにはボランティアの方に来ていただく」 石川県ではこれまでに6801棟の仮設住宅が建てられ6303世帯・1万2962人が暮らしています。(今月2日時点) (北陸学院大学 田中純一教授)「イベントを開催しているので、集会所としてはうまくいっている」 石川県にある北陸学院大学の田中純一教授です。災害社会学が専門で避難所支援のあり方を研究しています。 仮設住宅に入居する大倉好子さん(74)です。地震の前から田中教授と親交がありました。保育士だった大倉さんは7年前、誰でも自由に見学できるバラ園を自宅近くに整備しました。 (大倉好子さん)「植物って子育てと同じで、手を掛けたら掛けただけの結果を残してくれる。だから好き」 しかし、地震で自宅は全壊。バラ園も被害を受けました。 (大倉好子さん)「田中教授が震災翌日に私に会いに来てくれた、5時間かけて金沢から来てくれた」 仮設住宅からも近いバラ園を田中教授は学生と一緒に再生するボランティア活動を続けてきました。 (北陸学院大学 田中純一教授)「(被災者が)ここで座りながら学生も間に入ってしゃべっている、『私やっぱりここでくらしたいな』と言ったら、『あんたそう思ってたんや、実は私もそう思っていた』そういった本音がぽろぽろと顔見知りの顔見ると出てくる」 被害が大きかった奥能登地方では、仮設住宅に暮らす半数が65歳以上の高齢者です。 大倉さんらおよそ300世帯が暮らす仮設住宅では今年5月、1人で暮らしていた70代の女性が部屋で亡くなっているのが見つかりました。仮設住宅では今、互いを見守るコミュニティづくりが課題となっています。
田中教授は「災害から命を守る行動を考えた上で、被災した後の生活もイメージしておいてほしい」と話します。 (北陸学院大学 田中純一教授)「東日本大震災の避難所や仮設住宅で起きたことと重なっているもの多い。我が事として捉え、どれくらい地域を見た防災対策や計画を、国・県・市町・住民がそれぞれ考えてきたのか。みんなで考えるところから始めて地域の防災力を上げていく、暮らし続けることを再確認できる機会になるのでは」 能登半島地震を教訓にした鹿児島防災シンポジウムを今月21日に肝付町で開催します。テーマは「半島防災」、県内のリスクと備えについて専門家と考えます。
南日本放送