論理的思考が高い人ほど「斎藤氏は陥れられた」と考える傾向…社会心理学者が捉えた〝異変〟 兵庫県知事選
斎藤元彦氏が再選した11月の兵庫県知事選で、論理的思考が得意な兵庫県民ほどネットメディアの情報を信頼する傾向だった-。鹿児島大法文学部の大薗博記准教授(43)=社会心理学=らのグループが、選挙後に行ったアンケート調査から分析したところ、全国とは異なる結果となった。 【写真】大薗博記氏
調査は11月21、22日にオンラインで実施し、兵庫県民384人、兵庫を除く全国339人から有効回答を得た。論理的思考力を測る二つのテストのほか、「大手メディアは意図的にネガティブな印象操作をした」「斎藤氏は既得権益層に改革を阻まれた被害者だ」などについて質問した。 テスト結果と質問への回答の相関関係を分析したところ、全国では斎藤氏への評価と論理的思考の関連はあまり出なかった。一方、兵庫県民は論理的思考力が高いほど「大手メディアの印象操作」と新聞やテレビに不信を抱き、「斎藤氏は被害者だ」と考える傾向が弱いながらもみられた。これまでの研究では論理的思考が苦手な人ほど陰謀論的言説を信じやすい結果だったが、逆の傾向となった。 大薗准教授は「リテラシーの低い人が、交流サイト(SNS)に踊らされて斎藤氏を支持したという一部の言説とは逆の傾向になり、極めて興味深い」と解説。兵庫県政を巡る問題や新旧メディアの影響、選挙や民主主義などについて考える材料にしてほしいとしている。調査結果は投稿サイト「note」に公開している。
南日本新聞 | 鹿児島