知らぬまにスピード超過で“法律違反”状態に…電動キックボードの黒船「Lime」に“4つの問題点” 運用会社の見解は
“強制停車”とゆるすぎるサポート体制
Aさんは、他にも不安に感じたシーンがあったという。 「三軒茶屋から中目黒を通って、目黒方面に向かっていたところ、急に車両がピコンと鳴って止まってしまったんです。最初は“まさかバッテリー切れ?”と思ったのですが、アプリを開いてみると、利用可能エリアの外に出てしまっていました。もと来た道を少し手で押して戻ると再び走行可能になりましたが、急に止まったのでびっくりしてしまいました」(同) ことなきを得たAさんだったが、意図せず車両が停車したことで思わぬ事故に遭っていたかもしれません、とも振り返る。またバッテリー切れを疑った際、車両に記されたサポートデスクの番号に電話をかけてみたのだが――。 「スタッフが全員対応中というアナウンスが流れたあと、電話が切れてしまいました。今回は自己解決できたので良かったものの、本当の車両トラブルだった場合を思うと、ちょっとゾッとしましたね」(同)
Lime社の見解は
上記のLimeの問題点は、制限速度が日本よりも緩く、乗り捨てモデルで普及した「海外仕様」の車両を、そのまま日本に持ち込んだことで発生したとも推察できる。 最後に、明らかとなった問題点について、Lime社の見解をご紹介する。 ――「トレーニングモード」操作後の速度超過は道路交通法違反に当たるのではないか。 「ご指摘ありがとうございます。当社の車両2種類はいずれもJATAの認証を受けており、道路交通法等の関係法令を遵守する形でサービスを提供しています。乗車状況や地面の傾斜度合いにより速度は異なりますが、本件について調査し、速度超過の事象が判明した場合は早急に対処いたします」 ――交通テストの内容が不十分なのではないか。 「安全クイズは、スマートフォンの画面でユーザーが分かりやすく学べるように、関係法令や『安全利用官民協議会』のガイドラインを基にリスクの高い項目に焦点を当てて作成しています。安全教育の目的は、利用者に重要なポイントをより良い方法でわかりやすく伝えて、安全意識を高め、それを継続することだと考えております。当社はユーザーとその他の方々にとってより安全なサービスを提供するため、ユーザーが最も理解しやすい交通安全教育を実現できるよう、継続的に改善してまいります」 ――エリア外に出た際、車両が強制的に停車する仕様は、転倒や後続車との接触などの事故を引き起こす可能性があるのではないか。 「関係法令を遵守するため、乗車ゾーンや駐車ゾーンに分けて乗車できる場所、車両の速度、駐車できる場所が制限されている場合があり、アプリ上でユーザーにお示ししています。サービスエリア外に出てしまう場合、車両を徐々に減速させパワーの供給を最小限まで減らす仕様となっており、乗車を続けるには歩いてサービスエリアまで戻る必要がございます。当社は車両が急停止するようなことはしておりません。今後もユーザーへの注意喚起を徹底するほか、サービスエリアを徐々に拡大することでユーザーの移動範囲を広げてまいります」 ――車両の停止後、時間が経過すると自動精算され車両が開放される仕様は、乗り捨てや駐停車違反を助長することにならないか。 「大前提として、Limeは道路交通法など関係法令に違反する乗車や駐停車は禁止しております。ユーザーが法令違反行為を行ったと判断した場合、違反金、アカウント停止、退会処置などで厳しく対処しております。その前提の上で、車両から離れる必要がある場合は、最大15分間乗車を一時停止することが可能です。しかし放置車両を極力防ぐほか、意図せずお客様が使用料を請求され続けないよう、本来であれば返却すべき車両が15分以上放置されている場合、強制的に乗車を終了する仕様となっており、当社のオペレーションチームが車両を回収しております。今後も適切な駐車について、継続的にユーザーに対して注意喚起を徹底してまいります」 回答は以上。Lime社には何よりも、日本国内での使用を念頭にしっかりとした安全対策を求めたい。
デイリー新潮編集部
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