広島・田村 新井2軍打撃コーチと取り戻した“間” 開幕スタメンも直面した1軍の壁
広島の田村俊介外野手(20)が14日に約3カ月ぶりとなる1軍昇格を果たした。今季はレギュラー獲りを期待されながらも春先は極度の不振に苦しんだ。復調に向けてファームで心血を注いだ1点集中の取り組みとは-。 久々に1軍の輪に加わった田村は気合に満ちていた。迷いだらけだった3カ月前の自分はもういない。「2軍でやってきたことをそのまま出せればベストだと思う」。自信を取り戻した俊英は虎視眈々(たんたん)と出場機会をうかがっている。 ファームでは1点にフォーカスした打撃改善に着手した。「タイミングをしっかり早く取って、自分の間で打撃をすることが1番大事だと思った」。フォームの試行錯誤は二の次。原点回帰とも言える“間”を再構築することに時間をかけた。 今季は外野のレギュラー候補の最右翼として開幕スタメンも奪取した。しかし、シーズンが始まると直面したのは1軍の壁だった。直球への振り遅れも目立ち、打率・182で5月8日に登録抹消されることになった。 3月には強化試合に臨む侍ジャパンメンバー入りも果たし、注目度も爆発的な高まりを見せていた。その分、周囲からの助言も急増。教えを消化する前に、また新たな教えを授かる。「自分の中で考えすぎたり、新しいことが多すぎて、わけわからんくなってしまった」と当時を振り返る。 2軍に合流した直後は球速が一定しているマシン相手でも体が固まってしまい、バットが出てこない状態にあったという。そんな時に手を差し伸べてくれたのが新井良太2軍打撃コーチだった。「こんなに早くタイミング取っていいんか?ってくらい早くタイミングを取れよ」。この1点の改善だけに集中して懸命に汗を流した。 その後、地道な努力は結果に表れ、7、8月はウエスタンで打率・389、2本塁打13打点の大活躍を見せ、ついに1軍から声がかかった。再昇格後はベンチスタートが続いている中、「少ないチャンスで結果を出して勝ちにつながるプレーをしたい」と鼻息は荒い。苦しんだ分だけ強くなった期待の星が優勝争いで成長の軌跡を示す。(デイリースポーツ・畠山賢大)